女性の薄毛を確実に治す方法はある?治療ガイドラインを徹底解説!
- 公開日
- 2022年09月20日
- 更新日

「最近、なんだか全体的に髪のボリュームが減ったかも…?」
薄毛といえば男性が悩まされるイメージが強いかもしれませんが、女性も例外ではありません。髪が薄くなってはオシャレも楽しめず、鏡を見る度に憂鬱(ゆううつ)な気分になってしまう…という人も多いのではないでしょうか?
女性の薄毛の原因は、加齢だけではありません。生活習慣やホルモンバランス、ライフスタイルなど様々な要因が複雑に関係しているのです。中には一生進行し続けるタイプの薄毛もありますが、適切な治療を行えば改善することがほとんどです。
このページでは、女性の薄毛を改善するにあたって、より確実性の高い治療法を解説します。通販で買える病院の薬も紹介しているので、自宅で治療したいという方も是非参考にしてください。
そもそも女性の薄毛は治るのか?

女性の薄毛が治るのか否かについては、発症している薄毛の種類によって異なります。自然治癒する一過性の薄毛もあれば、一生付き合うことになる進行性の薄毛もあるのです。
女性に特有といえる薄毛の種類としては、以下が挙げられます。
薄毛の種類 | 治癒 | 解説 |
---|---|---|
びまん性脱毛症 | △ | 女性に最も多い脱毛症。頭髪全体が薄くなる特徴がある。他の脱毛症とは異なって脱毛の線引きが難しいという特性があり、若年性の脱毛症でもびまん性脱毛症と分類されることが多い。FAGAとも呼ばれる。 |
分娩後脱毛症 | 〇 | 出産後に起こる急激な脱毛症。出産によって増えていたエストロゲンが、出産後に通常の分泌量に戻ることで、急激な脱毛が生じる。産後の一時的な女性ホルモンの激減によって脱毛しているだけで、自然と元に戻る。 |
円形脱毛症 | 〇 | 円形や楕円形に髪の毛が抜ける脱毛症。 ゆっくり進行していく薄毛と異なり、何の前触れもなく突然髪の毛が抜け落ちる特徴がある。 誰にでも発症するリスクがあるが、女性に発症する傾向が多いとされている。 |
この中で完治するのは「分娩後脱毛症」と「円形脱毛症」です。治療を要する場合もありますが、時間の経過とともに自然治癒することが多いです。
一方で完治が見込めないのが、女性に最も多い「びまん性脱毛症」です。発症すると、一生涯に渡って進行し続けます。現代の医療では、びまん性脱毛症を根本的に治す治療法はありません。
ただし、完全に治ることはなくとも、治療によって症状を改善することは可能です。
びまん性脱毛症(FAGA)の改善には治療が必須

先述したように、びまん性脱毛症(FAGA)は自然治癒しません。放置していると、抜け毛の量が増え、全体的に髪がスカスカになっていきます。症状の進行を食い止めるには、適切な治療が必要です。
治療を行うことで、びまん性脱毛症の進行を抑えたり、毛量を増やしたりすることが可能です。完治はしないため、治療の目標は、あくまで毛量の回復と維持にあります。治療は継続が必須であり、中断すると、再び症状が進行します。
以下では、女性のびまん性脱毛症を改善する治療法の中でも、より確実性が高いものを紹介します。
確実性が高いのはガイドラインで推奨されている治療法

確実性が高い治療法は、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017に記載があります[1]。このガイドラインは、毛髪治療を専門とする皮膚科医によって作られており、医師・患者に向けて男性型および女性型脱毛症の有効な治療法を説明しています。
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017とは
- 2017年に日本皮膚科学会から発表された、男性型脱毛症と女性型脱毛症の標準的治療法をまとめた治療指針。日本の薄毛治療の向上を目的として、医師・患者に向けて作成されている。
脱毛症の研究は世界中で行われているので、たくさんのデータが存在します。より科学的根拠の強い治療法を導き出すために、それらの研究データや臨床試験結果を集めて統合する必要性があります。男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017は、世界中の研究論文を集めて解析し、それぞれの治療法を推奨度A・B・C1・C2・Dに分類しています。
推奨度 | 治療法 |
---|---|
A (行うよう強く勧める) |
ミノキシジル外用 |
B (行うよう勧める) |
LEDおよび低出力レーザー照射 |
C1 (行ってもよい) |
自毛植毛術 アデノシン外用 ケトコナゾール外用 カルプロニウム塩化物外用 t-フラバノン外用 サイトプリンおよびペンタデカン外用 かつらの着用 |
C2 (行わない方がよい) |
ビマトプロストおよびラタノプロスト外用 成長因子導入および細胞移植療法 |
D (行うべきではない) |
ミノキシジル内服 フィナステリド内服 デュタステリド内服 |
推奨度が高いほど、有効性を示すエビデンス(臨床成績などの根拠)の質や数が優れていることが示されています。信頼できるデータが多く存在するということであり、より確実な効果が期待できます。
反対に推奨度が低いほど、エビデンスの質や数が劣っていることが示されています。最低ランクである推奨度Dに至っては、効果がないことや有害であることを示すデータもあるため、推奨されません。
推奨度:A「ミノキシジルの外用」

- 臨床成績:1cm²あたりの毛髪数が平均で13.18本増加
- メリット:効果が高くて費用が安い
- デメリット:かぶれなどの副作用が生じることがある
ミノキシジルの外用は、ガイドラインにおいて女性の薄毛に対する推奨度が「A」に指定されている唯一の治療法です。有効性を示す質の高いエビデンスがあることから、女性の薄毛治療に対して行うことが強く推奨されています。
海外の臨床試験では、1,242名の女性を対象に6~8ヶ月間の観察が行われた結果、脱毛部1cm²あたりに平均で13.18本の増毛が確認されました[2]。日本国内でも厚生労働省によって、ミノキシジル外用薬は女性型脱毛症の治療薬として正式に認可されています。
ミノキシジルには、血管を拡張して血流を改善する作用があります。血管拡張作用によって血液を多く循環させることによって、毛母細胞に栄養素や酸素を供給しやすくするのです。また血流が促されることによって、頭皮の栄養状態も改善されます。髪の毛の成長の促進や抜け毛の抑制にも効果を発揮し、健康的でハリ・コシのある髪の毛を育成します。
ときにかぶれやかゆみなどの副作用が生じることもありますが、大半は軽微な症状です。治療を続けるうちに改善することが多いです。
日本では市販されていない2%ミノキシジル外用剤

日本国内でも正式認可されたミノキシジル含有の治療薬が市販されており、ドラッグストアで購入できます。ただし、市販されている女性用ミノキシジル製剤は、1%濃度の商品しかありません。
2%以上の濃度のミノキシジルは、医療機関での取り扱いになります。ただし、医療機関のミノキシジル外用薬は高額です。病院によって差はありますが、ひと月に5,000円から20,000円ほどかかってしまいます。
女性用の高濃度ミノキシジルを安く購入する方法として、海外製品の個人輸入が挙げられます。海外製品であれば、病院を介さずに高濃度のミノキシジル製剤を購入できます。
当サイトで販売中の高濃度2%ミノキシジル外用薬「ヘアフォーユー(女性用)」であれば、3,680円から購入可能です。安く早く薄毛を改善したい、発毛を実感したいという方には「ヘアフォーユー(女性用)」がおすすめです。
推奨度:B「LEDおよび低出力レーザー」

- 臨床成績:1cm²あたりの成長期毛の数が20.6本増加
- メリット:効果が高くて副作用が少ない
- デメリット:費用が高い
頭皮・頭髪に対してLEDもしくは低出力レーザーを照射し、血流を改善するとともに、細胞の活性化を通じて発毛を促す治療法です。ガイドラインにおける推奨度が「B」に位置づけられており、女性の薄毛に対する治療法として推奨されています。
12-beamレーザー照射装置を使った臨床試験では、26週間の治療における1cm²あたりの成長期毛(成長段階にある毛髪)の増加数が検証されています[1]。試験は効果の無い赤色光源と比較する形式で行われました。
- レーザー治療による 1cm²あたりの増毛数(26週間)
- 12-beamレーザー照射・・・ 20.6本/cm²
- 赤色光源(ただの光)・・・3.0本/cm²
臨床試験の結果、赤色光源との増毛数に明らかな差が確認されたことで、レーザー治療の有効性が実証されたのです。
レーザー治療のメリットは、副作用が比較的軽い点です。ミノキシジルなどの薬剤が体調や副作用により使えない人、または薬剤に不安のある人でも安心して使用できます。
またミノキシジルとの併用も可能であり、薄毛改善の効果や速度を高めることができます。
ただし、費用の負担が大きいというデメリットもあります。家庭用のレーザー照射装置は、15万~30万ほどの値段が相場です。薄毛外来を行っているクリニックでは、1回の照射ごとに3,000~5,000円ほどで行っている場合もありますが、継続することを考えると安くありません。
推奨度:C1「自毛植毛」や「ケトコナゾール」など

推奨度C1には、質が高くないものの、一定のエビデンスが認められていることから「行ってもよい」とされている治療法が該当します。このランクになると、積極的に推奨されているとは言い難いです。推奨度C1に位置する治療法として、以下が挙げられます。
- 推奨度C1(行ってもよい)の治療法一覧
- アデノシン外用、自毛植毛術、カルプロニウム塩化物外用、t-フラバノン外用、サイトプリンおよびペンタデカン外用、ケトコナゾール外用、かつらの着用
推奨度C1の中でも、特筆すべき治療法として「自毛植毛術」「アデノシン外用」「ケトコナゾール外用」の3つが挙げられます。
自毛植毛術
- 臨床成績:なし
- メリット:髪が生着すると、半永久的に生え変わり続ける
- デメリット:費用が高い、失敗のリスクがある
自毛植毛とは、薄毛が目立たない部位の髪を採取して、髪が薄い部分に移植する治療法です。2015年に世界で自毛植毛が行われ、82.5%以上の高い生着率(男性を含む)が得られたという報告があります[1]。髪が生着すると半永久的に生え変わり続けるので、抜け落ちても、また自然に生えてきます。
自毛植毛術は大規模な研究試験が行われたわけではないので、推奨度AやBの治療法と比べて効果の確実性には劣ります。しかし、ミノキシジル外用では効果が出なかった場合や、他に手段がない場合には推奨されています。
自毛植毛術のデメリットは、施術が失敗するリスクがある点です。髪が生着しなかったり、仕上がりが不自然だったりなどして、期待していた改善が得られない場合があります。
また費用の相場も100~200万円と高額なため、気軽に行える治療ではありません。
アデノシン外用
- 臨床成績:被験者の85%に薄毛の改善を確認
- メリット:費用が安い、市販薬で始められる
- デメリット:女性の薄毛に対して有効性を示す根拠が薄い
有効成分にアデノシンを配合している外用薬を用いた治療法です。アデノシンは毛乳頭細胞の増殖因子を促進して、毛成長を促して細くなった髪を太くするなどの効果があることがわかっています。
アデノシンは30名の女性型脱毛症の被験者を対象として臨床試験が行われています。試験ではアデノシンとプラセボ(偽薬)で、12ヶ月間の治療による改善率が比較されました[1]。
- アデノシンの改善率(プラセボと比較)
- アデノシン・・・13名中11名(85%)
- プラセボ・・・14名中5名(36%)
プラセボと比べて有意な改善率が示されたことで、アデノシンの有効性は示されたのです。服用を続けることで太毛率が下がらないこと、さらに薄毛の進行も抑制する効果も認められているのです。
副作用もなく、薄毛の進行も抑制する効果も認められることから、びまん性脱毛症の治療としても有効とされています。
ケトコナゾール外用
- 臨床成績:なし
- メリット:脂漏性皮膚炎による脱毛症に対して効果が高い
- デメリット:通常の女性の薄毛には効果が薄い
ケトコナゾールは抗真菌薬です。皮膚炎の原因となる真菌(カビの仲間)に対して効果を発揮します。
ケトコナゾール外用は男性のAGAに対する臨床試験が行われており、一定以上の効果があることがわかっています。しかし、女性の薄毛に対する臨床試験は実施されておらず、薬効を鑑みてもびまん性脱毛症への効果はあまり期待できないでしょう。
しかし、薄毛の原因が脂漏性皮膚炎であった場合は効果があります。脂漏性皮膚炎とは「マラセチア菌」が繁殖することで生じる疾患です。頭皮に炎症をおこして抜け毛を進行させます。
カビの一種であるマラセチア菌には、ケトコナゾールが有効です。脱毛とともに頭皮のべたつきやフケが見られる場合には、脂漏性皮膚炎が疑われます。
脂漏性皮膚炎による脱毛症の治療には、ケトコナゾール配合のシャンプーがおすすめです。「ニゾラールシャンプー」は、ケトコナゾールを2%配合しており、マラセチア菌の繁殖による頭皮環境の悪化を防ぎます。
推奨度がC2およびDの治療法は推奨されていない

ガイドラインにおいて、推奨度C2は「有効の根拠がない、あるいは無効である根拠がある」とされています。そのため、「行わない方がよい」という評価になっているのです。推奨度Dに関しては「無効あるいは有害であることを示す根拠がある」とされているため、「行うべきではない」と評価されています。
推奨度C2・Dに該当する治療法は以下の通りです。
- 推奨度C2の治療法一覧
- ビマトプロストおよびラタノプロスト外用、成長因子導入および細胞移植療法
- 推奨度Dの治療法一覧
- フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル内服
これらの治療法は女性型脱毛症診療ガイドラインでは推奨されていません。フィナステリド内服とデュタステリド内服は男性のAGAにのみ有効であって女性には効果がないので、注意しましょう。
海外で有効性が確認されている「ミノキシジルの内服」
- 臨床成績:9ヶ月で毛の直径は0.004mm増加、毛髪数は1cm四方あたり13本増加
- メリット:皮膚アレルギーの方でも使用できる
- デメリット:経験が乏しく安全性が確立していない
ガイドラインでは推奨されていないミノキシジルの内服治療ですが、海外では女性の薄毛に対する有効性を示した臨床試験があるので紹介します。
ミノキシジル外用は男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインで最も推奨されている治療法ですが、皮膚アレルギーなどで使用できない人もいます。そこで、マシュハド医科大学はミノキシジル内服薬とミノキシジル外用薬による治療効果を比較した臨床試験を行いました[3]。
薬剤 | 毛の直径 | 1cm²あたりの毛髪数 |
---|---|---|
ミノキシジル内服薬+プラセボ外用薬 | 0.004mm増加 | 13本増加 |
プラセボ内服薬+ミノキシジル外用薬 | 0.003mm増加 | 6本増加 |
マシュハド医科大学の研究によると、ミノキシジル内服薬と外用薬では平均毛径と毛髪密度にもほとんど差が見られず、同等の効果が期待できるとしています。副作用もわずかであったため、ミノキシジル外用薬が使用できない場合の代替薬としてのミノキシジル内服薬の可能性を示唆しています。
ガイドラインに記載はないが効果が期待できる「パントガール」

- 臨床成績:3ヶ月で70%の患者の抜け毛が減少
- メリット:ミノキシジルと併用できる、副作用が出ない
- デメリット:1日3回の服用が必要
ガイドラインには記載されていませんが、確実性の高い効果が期待できる薬として「パントガール」が挙げられます。
パントガールは世界で初めて効果と安全性が認められた女性専用の薄毛治療薬です。臨床試験では、3ヶ月間の使用で70%の女性が抜け毛の減少を実感しています[4]。
パントガールには、ケラチン、パントテン酸カルシウム、シスチン、ビタミンB群など、髪の成長に必要な栄養素が含まれています。細胞代謝を通して女性の薄毛や抜け毛を改善し、びまん性脱毛症や紫外線で傷んだ髪、コシやハリ・ツヤの無くなった髪や細く抜けやすい髪などに効果が高いです。
服用回数は1日3回とやや多めです。ただし、飲み忘れたからといって、ただちに影響が出るものでもないので、神経質になる必要はありません。
またミノキシジルなどの医薬品と併用することも可能です。相乗作用によるさらなる発毛効果が期待できます。副作用が生じることもないので、安心・安全に使用できます。
女性の薄毛を治すにはパントガールとミノキシジル外用薬との併用がおすすめ

女性の薄毛はホルモンバランスや加齢だけでなく、ライフスタイルや生活習慣などさまざまな要因でなります。そのなかでもびまん性脱毛症(FAGA)については治癒せず、継続的な治療が必要です。
確実性の高い治療は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」に記載されています。最も推奨される治療法はミノキシジル外用です。次いで、LEDおよび低出力レーザー、自毛植毛やケトコナゾールなどがあります。男性のAGAでは有効なフィナステリド服用は女性にとっては禁忌とされているので、注意しましょう。
またガイドラインには記載がありませんが、女性の薄毛に効果の高い医薬品として「パントガール」が挙げられます。70%の薄毛改善率が確認されており、女性の薄毛外来でも頻繁に処方されています[5]。副作用の心配がなく、他剤と組み合わせて使用できる薬でもあります。最も推奨ランクの高いミノキシジル外用薬と併用すれば、より確実性の高い治療効果が得られます。

2%濃度のミノキシジル外用薬やパントガールなど、市販されていない商品を紹介。海外製品なので、女性の薄毛外来で使われている薬を通販で購入できる。
- 参考文献・参考サイト
- [1]日本皮膚科学会ガイドライン「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」日皮会誌:127(13),2763-2777,2017
- [2]Esther J van Zuuren,et,al."Interventions for female pattern hair loss"Cochrane Database Syst Rev,May 2016,2016(5).
- [3]Dermatol Ther, et al."A randomized clinical trial on therapeutic effects of 0.25 mg oral minoxidil tablets on treatment of female pattern hair loss"Dermatol Ther. 2021 Nov;34(6):e15131.
- [4]Merz Pharma「Convincing results」(参照:20024-07-16)
- [5]Pantogar® : Treatment success