クラミジア感染症の症状「女性はおりもの、男性は膿に注意」

女性の性器クラミジアの症状
女性に見られる性器クラミジアの症状として以下が挙げられます。
- おりものの増加
- 不正出血
- 下腹部痛
- 性交痛
女性ではおりものの異常が特徴的な症状です。
女性がクラミジアに感染すると、まずはじめに子宮頸管炎が引き起こされます。
子宮の入り口である子宮頸管に炎症が起こることで、女性特有のさまざまな症状が現れます。なかでも特徴的な自覚症状が、おりものの異常です。
おりものは主に量・色・においから正常かどうかチェックします。おりものの量は個人差があるため一概にはいえませんが、おりものシートで対応できる範囲であれば正常だと思われます。色は一般的に透明か乳白色をしており、乾くと黄色になります。また、においはほとんどせず、少しすっぱいにおいがすることがあります。
症状としておりものに異常が出ると量や色に変化が現れます。性器クラミジアを発症している場合、たびたびおりものの量が増え、状態は水っぽく、白色もしくは淡い黄色になります。においはあまり強くありません。
おりものの量や状態は生理周期によっても変化するので、おりものの量が増えただけでは基本的に問題ありません。おりものの異常が1週間ほど続くようであればクラミジアの感染が疑われます。
子宮頸管の炎症により不正出血や下腹部痛などが現れることもあります。
おりものの異常以外にも、クラミジアの初期には不正出血、下腹部痛、性交痛、内診痛などの自覚症状がみられます。これらの症状はおりものの異常と同じように軽度の場合が大半です。
子宮頸管の粘膜には痛みを感じる神経がほとんどないので、おりものの異常を除けば初期に自覚症状が出ることはほとんどありません。症状が進行すると子宮内膜に炎症ができて下腹部痛、生理痛、不正出血などが引き起こされます。
女性感染者の7~8割が症状に気付かない
クラミジアは感染したからといって、必ずしも自覚症状が現れるわけではありません。女性の場合は基本的に症状が軽い上、生理時に見られる現象と似ているため、特に性器クラミジアの発症に気付きにくいのです。
厚生労働省の発表によると、女性の性器クラミジア感染者の7~8割が自覚症状を感じていないとされています。
問題となるのは無症状であることによって、自らの感染を見落として無治療のまま過ごしてしまうことです。
体感的には何の異変が無かったとしても、菌の感染は体内の奥へと拡がっていきます。かなり病状が悪化してからようやく気付くこともあります。
悪化すると卵管炎、骨盤腹膜炎などが引き起こされます。
クラミジアの感染に気付かずに放置していると、子宮頸管から卵管に細菌が進行して卵管炎がおきます。
卵管炎は卵管周辺の癒着や受精卵の通過障害を引き起こすことによって、不妊や子宮外妊娠などの後遺症を残すリスクがあるため大変危険です。さらに感染が進むと、細菌は腹腔内にまで進行して骨盤腹膜炎や肝周囲炎などを発症します。肝周囲炎にまで進むと、他の臓器との炎症性癒着が起きて激しい上腹部痛が起きて救急車で運ばれる事態になることもあります。
このような急性的な症状が起きることによって、ようやくクラミジアの感染が発覚する例も少なくありません。
男性の性器クラミジアの症状
男性に見られる性器クラミジアの症状として以下が挙げられます。
- 尿道からの膿
- 尿道のかゆみ、違和感
- 排尿痛
- 睾丸の腫れ
現れやすい自覚症状は尿道からの膿やかゆみ、排尿痛など。
男性がクラミジアに感染すると尿道炎が引き起こされます。
男性の場合でも、感染しても無症状またはごく軽度であることが多く、男性が性器クラミジアの発症を自覚するのは感染者の半数程度であるとされています。
男性が性器クラミジアを発症した場合の最も特徴的な自覚症状は、尿道から分泌される膿です。気付いたら、パンツに膿が付着していることもあります。
クラミジアによる膿の特徴は、サラサラとした漿液性です。膿の色は、透明もしくは若干白く濁っています。分泌される膿の量は、少量から中等量と決して多くありません。少量でわかりにくい場合は、陰茎を根元から尿道口側に向かってしごくことで、膿が絞り出されます。
その他、初期に現れることの多い症状として、尿道のかゆみや不快感、排尿痛などが挙げられます。これらはいずれも軽度であり、仮に発症していても、気付かれなかったり放置されてしまうことがよくあります。
悪化すると精巣上体炎や前立腺炎が引き起こされます。
男性のクラミジアが悪化すると、尿道炎から精巣上体炎(副睾丸炎)へと発展します。片側のみの睾丸の膨張および疼痛、発熱などが見られます。
睾丸の疼痛がある場合には、陰嚢を少し持ち上げると痛みが軽減するという特徴があります。
精巣上体炎は精巣機能の低下に繋がり、男性不妊症の原因にもなる危険な症状です。また、尿道から前立腺に感染して急性前立腺炎を起こすこともあります。
急性前立腺炎の症状として、頻尿、残尿感、排尿困難、発熱などが見られます。
咽頭クラミジア、クラミジア結膜炎、クラミジア直腸炎の症状
クラミジアが感染するのは性器だけではありません。喉や目、肛門などの粘膜がある部位であれば、どこにでも感染して不快な症状を引き起こします。
喉に感染した場合は、喉の痛みや腫れ、咳、頭痛、鼻水など、風邪に似た症状が見られます。
喉は性器と並んでクラミジアが感染しやすい部位であり「咽頭クラミジア」と呼ばれています。
目に感染した場合は、充血やまぶたの腫れ、目やに、まぶたの裏のブツブツなどが症状として見られます。「クラミジア結膜炎」と呼ばれており、最初は結膜に感染しますが、進行すると角膜にも感染して失明のリスクを伴う重篤な症状になります。
肛門に感染した場合は、腹痛や下痢、粘血便、排便時出血、肛門痛などの症状が見られます。この場合では、肛門を経由して直腸に感染しており「クラミジア直腸炎」と呼ばれます。
クラミジアと症状が似ている病気
クラミジアと症状が似ている病気として、淋病とカンジダが挙げられます。
以下の表は、それぞれの疾患ごとの症状の特徴を比較したものです。
病名 | 潜伏期間 | 女性のおりもの | 男性の膿 |
---|---|---|---|
クラミジア | 2~3週間 | 水っぽい、白色または淡い黄色。 | サラサラとした漿液性、透明または白っぽい。 |
淋病 | 1~2週間 | 膿のように濃い、黄色い、強い悪臭。 | ドロっとした膿性、濃い黄色い。 |
カンジダ | ほとんどは自己感染 | 酒かすのように白くポロポロしている。 | 出ない。 |
淋病やカンジダと比べると、クラミジアの症状は軽度である傾向があります。とはいえ、感染時の菌の量が多い場合では、クラミジアでも急性的な強い症状がでることもあります。
疑わしい場合は検査を受けて、なんの病気であるかを明らかにして治療を始めることが大切です。
