ザイロリックの効果「痛風と高尿酸血症の臨床結果」について
ザイロリックの効果・効能
- 効能・効果
- 痛風、高尿酸血症
- (1) 尿酸が過剰に生成されるのを抑えます。
ザイロリックは、尿酸の量を下げて、痛風や高尿酸血症を改善する薬です。
有効成分のアロプリノールが尿酸の生成を抑制し、尿酸値を下げます。ザイロリックは尿酸を下げる薬のなかでも、尿酸生成抑制薬に分類されます。
尿酸の過剰な生成を抑える
ザイロリックは、尿酸産生過剰型の高尿酸血症に対しての使用が推奨されています。
高尿酸血症は、大きく分けると3つの種類があります。
高尿酸血症の分類 | 一般名(成分名) | 製品名 |
---|---|---|
尿酸産生過剰型 | フェブキソスタット | フェブリク |
アロプリノール | ザイロリック | |
尿酸排泄低下型 | プロベネシド | ベネシッド |
ブコローム | パラミヂン | |
ベンズブロマロン | ユリノーム | |
混合型 | 上の組み合わせ |
ザイロリックが尿酸産生過剰型に使用される理由は、副作用のリスクを軽減するためです。尿酸排泄低下型に使用するとオキシプリノール(代謝物)の蓄積に伴った副作用が発現することがあります。
尿酸値を低下させる仕組み(作用機序)
ザイロリックはキサンチンオキシダーゼ(XO)を抑制して尿酸の生成を抑えます。
XOはプリン体が尿酸に分解されるまでの過程に必要な酵素です。プリン体は、ヒポキサンチン、キサンチン、尿酸の順で分解されます。XOはヒポキサンチンがキサンチンを経て尿酸に分解される2段階の分解工程にそれぞれ関わってきます。
XOを抑制することで最終的に産生される尿酸が減少します。
高尿酸血症とは
高尿酸血症は尿酸がたまって尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。尿酸が高い状態が続くと、痛風を発症する可能性があります。
痛風の代表的な症状として関節炎(痛風発作)が挙げられます。痛風発作は、血中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化して起こります。結晶化した尿酸は関節で沈着し、炎症となって発作が出ます。発現すると激しい痛みを伴います。
痛風と高尿酸血症は切っても切れない関係にあります。尿酸値を下げて、高尿酸血症を改善することが痛風の治療と予防につながります。
痛風と高血圧症を伴う高尿酸血症に対する臨床効果
ザイロリックの効果は、日本国内の15施設で343名を対象にした臨床試験で証明されています。
対象者は痛風または高血圧症を伴う高尿酸血症を有する方です。対象者には1日100〜300mgのザイロリックが投与されています。
対象者 | 有効率 | 有効数/症例数 |
---|---|---|
痛風発作の経験者 | 88.0% | 146人/166人 |
高血圧症を伴う高尿酸血症患者 | 86.4% | 153人/177人 |
痛風の患者においては、166名のうち146名にザイロリックの効果が認められました。有効率にすると88.0%です。高血圧症を伴う高尿酸血症の患者においては、177名のうち153名に効果が確認されています。有効率は86.4%でした。
ザイロリックの臨床試験は様々な判定基準で行われています。治療を行う場合の尿酸値(SUA)は6.0mg/dL以下が望ましいとされています。有効性の判定基準をSUA≦6mg/dLとした臨床データは下記の通りです。
対象者 | 総数 | 有効数 | 有効率 |
---|---|---|---|
痛風 | 7 | 7 | 100% |
高尿酸血症 | 16 | 15 | 93.8% |
高尿酸血症 | 27 | 18 | 66.7% |
総数 | 合計有効数 | 合計有効率 |
---|---|---|
50 | 40 | 80.0% |
尿酸値の効果判定の基準をSUA≦6mg/dLに絞った臨床試験では、50名のうち40名で有効性が認められました。有効率は80.0%です。ザイロリックは、より厳しい判定基準の臨床試験であっても、高い効果を発揮していることがわかります。
ザイロリックは尿酸が原因の尿路結石に効果的
ザイロリックは尿路結石の中でも、結石が尿酸によってできる尿酸結石に効果があります。
結石の原因となる物質は様々です。原因となる物質で最も多いのはシュウ酸カルシウムです。他にも、尿酸が結石になることもあります。
尿酸結石の薬物治療には、尿酸の生成を抑えるためにザイロリックなどの尿酸降下薬が用いられます。加えて結石を溶かすクエン酸製剤の内服も有効とされています。
また、ザイロリックは高尿酸尿を伴うシュウ酸カルシウム結石の再発予防にも効果を発揮します。
プラセボとの二重盲検試験では、プラセボ錠の非再発率が63.4%で、アロプリノール(ザイロリックの有効成分)を投与した対象者の非再発率が81.2%でした。アロプリノールを服用した対象者の非再発率が有意に増加していることがわかります。
ザイロリックとフェブリクの違いは?
フェブリクはザイロリックよりも新しい尿酸生成抑制薬です。
日本国内では2011年に販売が開始されています。キサンチンオキシダーゼを阻害して尿酸値を下げる効果があります。
フェブリクが優れている点は、1日1回の服用で済むところです。ザイロリックは2〜3回に分けて服用する必要があります。痛風と高尿酸血症への効果を比較すると、フェブリクの方がわずかに強いです。
ザイロリックが優れている点は、医薬品として長年にわたる治療実績があるところです。日本国内では、1969年から発売が開始されています。世界107ヶ国で承認されており、今なお痛風および高尿酸血症の治療に広く用いられています。