リピトールの効果「コレステロールや中性脂肪を減らす働き」について
リピトールの効果と効能
- 効能・効果
- 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
- (1) 血中コレステロールを減らして、動脈硬化に伴う合併症を予防します。
リピトールは、血中のLDLコレステロール(LDL-C)の値が上昇する高コレステロール血症の治療に効果がある医薬品です。高コレステロール血症は、脂質異常症や高脂血症と呼ばれる疾患の1つで、放っておくと動脈硬化などの合併症が出現するおそれがあります。
運動療法や食事療法では十分な効果が得られない場合の高コレステロール血症の治療には、リピトールを含むスタチン系薬剤が使用されます。リピトールの効果によって血中脂質の値が正常に近づくと、動脈硬化などの合併症リスクの低下にもつながります。
リピトールには、肝臓におけるコレステロールの合成を抑制する作用があるアトルバスタチンという有効成分が配合されています。LDL-Cの減少だけでなく、中性脂肪やHDLコレステロール(HDL-C)の値を改善させる効果も期待できます。
臨床試験被験者の81.4%が血中のコレステロールが正常値に戻った
血中の脂質が多すぎたり少なすぎたりすると、高コレステロール血症などの脂質異常症と診断されます。例えば、高コレステロール血症はLDL-Cが140mg/dL以上の状態を指します。
リピトールは、血中の総コレステロール(TC)を約30%、LDL-Cを約40%低下させるという優れた効果が認められています。
リピトールの臨床試験において、1日1回10mgの服用によって、被験者の81.4%がTCが正常範囲である220mg/dL未満に至りました。また、LDL-Cの値で見ると85.1%が正常範囲となりました。
高脂血症を対象とした臨床試験
高脂血症の患者にリピトール10mgを1日1回夕食後に服用させたところ、LDL-C、HDL-C、中性脂肪(トリグリセリド)の値が改善しました。結果として、被験者の72.5%はTCが正常範囲内に収まり、86.3%はLDL-Cが150mg/dL未満まで減少しました。
項目/服用量 | 10mg |
---|---|
LDLコレステロール | -39.6% |
HDLコレステロール | 5.2% |
総コレステロール | -30.2% |
中性脂肪 | -16.7% |
家族性高コレステロール血症を対象とした臨床試験
家族性高コレステロール血症とは、生まれつきLDL受容体などの遺伝子に異常があり、血中のコレステロール値が高くなってしまう病気です。両親が受け継いだ遺伝子の片方に異常がある場合をヘテロ接合体、両方に異常がある場合をホモ接合体といいます。
臨床試験において、リピトール10mgを家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体の患者に8週間服用させました。その後、8週間おきに20mgから40mgへと用量を徐々に増やしたところ、以下のようにTCおよびLDL-Cが改善しました。
項目 | 10mg |
---|---|
LDLコレステロール | -37.7 |
総コレステロール | -31.8 |
家族性高コレステロール血症ホモ接合体は、ヘテロ接合体よりも重症度が高く、LDL-Cがほとんど代謝されません。
LDLアフェレーシスという治療を行っている家族性高コレステロール血症ホモ接合体の患者にリピトールを投与した臨床試験では、9例中6例にコレステロール値の改善効果が確認されています。
効果は服用している期間にわたって持続
リピトールの効果は、服用を続けている期間中は持続します。毎日の服用を続けることで安定して血中脂質値をコントロールできます。食事療法や運動療法などリピトール以外の対処方法をとらずに服用を止めてしまうと、以前のようにLDL-Cが高くなってしまうおそれがあります。
リピトールの効果がなくても、コレステロールを正常範囲に収められるようになれば、服用をやめても問題ありません。
クレストールやリバロと効果を比較すると?
スタチン系薬剤は、LDL-Cを下げる効果の強さによってスタンダードスタチンとストロングスタチンに分類されています。リピトールは、ストロングスタチンに分類されており、他のスタチン薬と比較して強い効果があります。
リピトール以外のストロングスタチンとしては、有効成分ロスバスタチンを含有しているクレストールや有効成分ピタバスタチンが配合されているリバロが挙げられます。
ストロングスタチン内でのLDL-Cを下げる効果の強さに大きな差はないと考えられています。
LDLコレステロール減少率の違いについて
リピトールやクレストール、リバロそれぞれの臨床試験では、標準用量で以下のようなLDLコレステロール減少率が認められています。
薬品名 | 減少率 |
---|---|
リピトール10mg | -39.6% |
クレストール2.5mg | -44.9% |
リバロ2mg | -39.7% |
リピトールとクレストールの効果を比較すると、わずかにクレストールの方が強いとされています。臨床試験におけるLDL-Cの変化率は、クレストール2.5mgが-44.9%、リピトール10mgが39.6%です。
リピトールの有効成分アトルバスタチンと比較して、クレストールの有効成分ロスバスタチンは他の細胞組織に移行しづらいという特徴があります。そのため、副作用や飲み合わせの問題が少なくなっています。
リバロは、成人の高コレステロール血症に対して、LDL-Cを39.7%減少させる効果が認められています。また、TCにおいても28%低下させる効果が示されており、リピトールと比較してほぼ同等の強さの効果があります。
リピトールに痩せる効果は期待できるのか
リピトールは、血液に含まれているコレステロールや中性脂肪を減少させる効果がある薬です。体脂肪に直接作用することはないので、リピトールに痩せる効果は期待できません。
肥満は高コレステロール血症になりやすくなる要因となりますが、適正体重であっても高コレステロール血症になることは少なくありません。コレステロール値が高いからといって体重が増加するわけではないので、リピトールを使用してLDL-Cを下げても痩せる効果は得られないでしょう。