クラビットの効果「膀胱炎やクラミジア、副鼻腔炎など」について
クラビットの効果と効能

- 効能・効果
- 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、化膿性炎症を伴うざ瘡、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱
- <適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、コクシエラ・ブルネティ、クラミジア・トラコマティス、クラミジア・ニューモニエ、マイコプラズマ・ニューモニエ
クラビットには、グラム陽性菌(ブドウ球菌や溶連菌など)や陰性菌(大腸菌や緑膿菌など)のほか、クラミジア・トラコマチスやマイコプラズマなど、幅広い種類の細菌に対する抗菌効果があります。
適応症の種類も幅広く、泌尿器科や呼吸器科、耳鼻科、皮膚科、歯科など、幅広い領域の疾患に対する治療効果が認められています。
膀胱炎など尿路におきる疾患への効果
疾患 | 有効率 |
---|---|
膀胱炎 | 86.5% |
腎盂腎炎 | 73.3% |
こちらは膀胱炎とその悪化によって生じる腎盂腎炎に対するクラビットの臨床成績です。クラビットには、膀胱炎の病原細菌の8割以上を占める大腸菌に対する抗菌効果が認められています。臨床試験では、73〜86%の高い有効性が実証されています。
膀胱炎に対してクラビットの効果が出るまでの期間は?
クラビットの服用を開始してから、膀胱炎の症状が軽快するまでの一般的な期間は2〜3日程度です。治りが遅いケースでも、1週間ほどで排尿痛や尿のにごりといった症状が落ち着いてきます。
治りが早いケースだと1〜2日程度で症状が消えることもあります。ただし実際に膀胱内の菌が死滅するまでには10日程度かかります。中途半端な治療で菌が残存すると、再び増殖をして膀胱炎が再燃します。決められた服用期間をしっかり守ることが大切です。症状が消えたからといって、自己判断でクラビットの服用を中断してはいけません。
クラビットの効果を高める為にも、意識的に水分を多く摂取することが大切です。水分を多く摂って頻繁に排尿をすることで、膀胱内から菌が排出されやすくなります。膀胱内に尿が貯まっている時間が長くなると、その分、菌が繁殖しやすくなりますので、排尿を我慢することは避けましょう。
膀胱炎にクラビットが効かない場合は?
クラビットが効かない場合には、抗菌薬が効かない耐性菌である可能性があります。近年、クラビットに対して耐性を示す大腸菌(膀胱炎の主な病原菌)の増加が心配されています。耐性菌が疑われる場合には、クラビットから別の抗菌薬に切り替え、再度治療を行う必要があります。
その他、症状が改善しない理由として、膀胱炎の原因が細菌感染以外にある可能性があります。膀胱炎には前立腺肥大症などに起因する複雑性膀胱炎や原因が良く分かっていない間質性膀胱炎などがあります。クラビットが有効なのは細菌性の疾患です。細菌感染が関わっていない膀胱炎には効果がありません。
性器クラミジア感染症への効果
疾患 | 有効率 |
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尿道炎 | 84.8% |
前立腺炎 | 100% |
精巣上体炎(副睾丸炎) | 80.0% |
子宮頸管炎 | 92.3% |
子宮内感染 | 94.7% |
クラビットには性器クラミジアの病原細菌であるクラミジア・トラコマチスに対する殺菌効果が認められています。臨床試験では、性器へのクラミジア感染症に対して、84〜100%という非常に優れた有効性が確認されています。
クラビットの効果が出るまでの期間は1週間ほどです。性器クラミジアによる不快な症状は、ほとんどの場合で1週間以内に軽快します。ただし、クラミジア菌を完全に除菌するまでには、2〜3週間程度の期間を要します。他者への感染を防ぐ為にも、その期間は性交を控えましょう。
性器クラミジアにクラビットが効かない場合は?
クラビットに耐性があるクラミジア細菌に感染している場合、服薬しても効かない場合があります。耐性菌による疾患に対しては、別の抗菌薬に切り替えて治療を行います。クラミジアでは、治療の2〜3週間後に再検査を受けて、確実な完治を確認することが大切です。
また特定のパートナーがいる場合には、双方が治療を行うことが重要です。クラビットの服用でクラミジアを完治しても、パートナーが菌を保持していた場合には再感染のリスクがあります。クラミジアは感染しても症状が出ないことが多い病気ですので、検査を受けない限り、パートナーの感染を知るすべはありません。
副鼻腔炎など風邪に関する疾患への効果
疾患 | 有効率 |
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咽頭・喉頭炎、扁桃炎 | 95.0% |
急性気管支炎 | 100% |
副鼻腔炎 | 85.9% |
中耳炎 | 100% |
こちらは一般的に「風邪」と呼ばれる咽頭・喉頭炎と、風邪の悪化で発症する扁桃炎や副鼻腔炎、気管支炎、中耳炎に対するクラビットの臨床成績です。
クラビットは風邪を引き起こす溶連菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌などに殺菌効果があります。これらの菌による感染症に対し85〜100%の優れた有効性が確認されています。
クラビットが効果的なのは、風邪の原因が細菌感染である場合のみです。原因がウイルス感染の風邪に対して、クラビットのような抗生物質は効き目がありません。風邪の原因の9割はウイルス感染ですので、クラビットは病原体が細菌であることが判明している場合にのみ使用されます。
副鼻腔炎の改善に要する期間は3〜5日
副鼻腔炎に対しては、肺炎球菌やインフルエンザ菌の感染が疑われる場合にクラビットが効果的です。細菌感染による副鼻腔炎では、38〜39℃程度の発熱や頭痛、顔の痛みなどの強い症状が、10日以上持続することがあります。クラビットを服用することで、3〜5日以内に症状が改善します。
細菌が耐性を有していた場合、副鼻腔炎にクラビットが効かないこともあります。クラビットの服用を開始してから3〜5日後の時点で効果が見られない場合は、服用を中止してください。症状の改善が見られない場合やもしくは悪化している場合には、別の抗生物質に切り替える必要があります。
咽頭炎の改善に要する期間は2〜3日
咽頭炎に対しては、溶連菌による感染が疑われる場合にクラビットが効果的です。溶連菌の感染でおきる咽頭炎では、いくつかの強い症状が見られます。主な症状は38〜39℃程度の発熱や喉の痛み、舌の発疹などです。ウイルス性の風邪とは異なり、咳や鼻水は出ないという特徴があります。クラビットを服用すれば、2〜3日程度で症状は治まります。
ニキビなど皮膚におきる疾患への効果
疾患 | 有効率 |
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表在性皮膚感染症、ざ瘡 | 83.5% |
深在性皮膚感染症 | 92.8% |
リンパ管・リンパ節炎 | 93.8% |
慢性膿皮症 | 89.0% |
クラビットには、皮膚感染症の原因菌である黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に対する殺菌効果があります。皮膚感染症に対するクラビットの臨床成績として、83〜93%という高い有効率が確認されています。
上記の臨床成績における「ざ瘡」というのはニキビのことです。クラビットには、ニキビの病原細菌であるアクネ菌を殺菌し、炎症を抑える効果があります。
クラビットが使用されるのは、炎症や化膿を伴ったニキビです。赤ニキビや黄ニキビが多発している場合に有効となります。
蜂窩織炎に対する効果
クラビットの適応疾患である深在性皮膚感染症の中には「蜂窩織炎」も含まれます。クラビットには、蜂窩織炎の病原細菌である溶連菌と黄色ブドウ球菌を殺菌する効果があります。軽度の蜂窩織炎であればクラビットの内服により、数日〜10日程度で完治が見込めます。
ただし、発熱や倦怠感などの全身症状を伴う重症例では、クラビットでは効果が不十分です。点滴静注による抗生物質の投与を行いますので、入院が必要となります。
粉瘤に対する効果
クラビットの適応疾患である慢性膿皮症の中には「粉瘤」も含まれます。粉瘤は皮膚の下に垢(あか)や皮脂が固まって腫瘍ができる疾患です。細菌が入り込んで炎症を起こした場合、クラビットが用いられます。腫れや痛みが軽度であれば、クラビットの内服を数日間続けることで抑えることができます。
炎症や化膿が進行している粉瘤では、クラビットの効果では改善が見込めません。皮膚を切開して膿を取り出す手術が必要になります。
歯周病など口腔内でおきる疾患への効果
疾患 | 有効率 |
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歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎 | 83.4% |
こちらは口腔内でレンサ球菌属やペプトストレプトコッカス属が繁殖しておきる感染症に対するクラビットの臨床成績です。歯周組織炎(歯槽膿漏)および歯冠周囲炎(歯肉炎の一種)は、いわゆる歯周病のことです。歯周組織炎や歯冠周囲炎が進行すると、歯の神経(歯髄)が炎症を起こして顎炎となります。クラビットはこれらの疾患に対して、83.4%という優れた有効率が確認されています。
抜歯をした際や歯茎に傷ができた場合などにも、細菌感染予防にクラビットが用いられることがあります。
歯周病では歯茎の腫れや歯痛が強い場合に効果的
クラビットには、歯周病の急性症状を抑える効果があります。慢性的に続くことの多い歯周病ですが、何らかのきっかけで病原細菌が過剰に増殖することがあります。このとき、歯茎の腫れや歯痛などの症状が激しく現れます。クラビットの殺菌効果により病原細菌の量が減ることで、歯茎の炎症が鎮静化して症状が落ち着きます。
クラビットには、歯周病そのものを根治する効果はありません。歯周病の原因には、細菌への感染だけでなく、身体の免疫力や生活習慣が関わっています。クラビットで除菌をしても、根本的な原因が解決されない限り、再び菌の繁殖が起こります。クラビットのような抗生物質は、あくまで一時的に症状を抑える目的で使用されます。