クラビットの副作用「下痢、不眠、アレルギー」について
クラビットの主な副作用

クラビットでは、主な副作用として以下の症状が報告されています。
- <主な副作用>
- 下痢、悪心、めまい、発疹、不眠など。
クラビットの主な副作用は、下痢や悪心などの消化器系に起きる症状や、めまいや不眠などの精神神経系におきる症状、発疹をはじめとするアレルギー症状などです。幅広い症状が報告されているとはいえ、クラビットは決して副作用の強い薬ではありません。適切に使用した場合の安全性は確立されており、いずれの症状も発現頻度は5%未満です。
副作用が少ないクラビットは、アレルギーで他の抗生物質(ペニシリン系やセフェム系)が使用できない患者に対する代替薬として用いられることも多いです。
下痢や吐き気など消化器系の症状
クラビットの臨床試験では、消化器におきる副作用が以下の頻度で報告されています。
- <消化器系の副作用の発症率>
- <1〜5%>
下痢、悪心(吐き気)、嘔吐、食欲不振、腹部不快感 - <1%未満>
腹痛、胃腸障害、口の渇き、便秘、消化不良、腹部膨満
特に多く報告されたのは、悪心(3.3%)と下痢(1.4%)です。クラビットの服用後に、吐き気や胸のむかつき、下痢が続くなどの症状がみられた場合には、消化器系の副作用であることが疑われます。
低い頻度で胃腸障害も報告されていますので、胃痛や胃液の逆流などを感じた場合にも要注意です。
下痢の副作用が生じる原因は、クラビットの抗菌効果が及ぼす腸内細菌への影響です。病原細菌の殺菌目的で使われるクラビットですが、その効果が腸内を健康に保つ常在菌にも及んでしまうことがあります。常在菌が減少して腸内環境が乱れることで、下痢や吐き気、胃痛といった不調が生じることがあります。
消化器系におきる不調は、抗生物質全般に共通して見られる副作用です。抗生物質の中でいえば、むしろクラビットは下痢や腹痛などの副作用が起こりにくい薬といえます。クラビットは、腸内の環境を悪化させる悪玉菌に比較的明確な殺菌作用を示し、良い働きをする善玉菌に及ぼす影響が少ないことは分かっています。
クラビットと併用できる整腸剤は?
クラビットと整腸剤を併用することで、下痢などの消化器系に起きる副作用を抑えられます。整腸剤とは、善玉菌が含まれている薬です。善玉菌には腸内環境を健康に保つ働きがあります。クラビットと併用されることが多い整腸剤として、下記の製品が挙げられます。
- ミヤBM
- ビオフェルミン
- ビオスリー
これらは病院で処方される整腸剤です。ドラッグストアなどで購入できる市販の整腸剤としては「新ビオフェルミンS」や「ビオスリーHi錠」などがあります。
不眠やめまいなど精神神経系の症状
クラビットの臨床試験では、精神神経系の副作用が以下の頻度で報告されています。
- <精神神経系の副作用の発症率>
- <1〜5%>
不眠、めまい、頭痛 - <1%未満>
傾眠、振戦(身体の一部に起きる震え)、意識障害
最も高い頻度で報告されたのは、めまい(3.1%)の症状です。クラビットの副作用として確認されたほとんどが「浮動性」と呼ばれる種類のめまいであり、身体がフワフワと浮いているような感覚がある、姿勢を保つのが困難でフラつく、真っすぐ歩くことができない、などといった症状があります。
次に多く報告されたのが、不眠(2.6%)の副作用です。
疲れているのに眠れない、目が冴えて寝付けない、夜中に何度も起きてしまう、などといった症状がみられる場合には、クラビットの副作用が疑われます。
不眠の副作用に関しては、服用の時間帯を朝に変更するなど調整することで改善が見込めます。
まれに眠気や意識障害がみられる場合もありますので、自動車の運転や危険を伴う機械の操作に従事されている場合は十分な注意が必要です。
アレルギーが疑われる症状
クラビットの臨床試験では、過敏症(アレルギー)の副作用が以下の頻度で報告されています。
- <過敏症の副作用の発症率>
- <1〜5%>
発疹 - <1%未満>
そう痒感(かゆみ)
その他、発症頻度は不明ですが、蕁麻疹の副作用も報告されています。
これらの症状は、薬に対するアレルギー反応と一致します。クラビットの成分にアレルギーがある方の使用は禁忌とされています。身体にボツボツやかゆみが現れた場合には、すぐにかかりつけの医師に相談してください。
アレルギーが強く出ると、急激な血圧低下や失神などの命に関わる症状を伴うアナフィラキシーショックを生じるおそれがあります。アナフィラキシーショックは、クラビットで報告されている重大な副作用(後述)の中のひとつです。初期症状としては、紅斑(複数生じる紅い斑点)や、悪寒、呼吸困難などの症状が見られます。
痙攣やアキレス腱障害など重大な副作用
クラビットでは、重大な副作用として以下が報告されています。
- <重大な副作用>
- 痙攣、アキレス腱障害、肝機能障害、ショック、アナフィラキシー、不整脈、低血糖、横紋筋融解症など
いずれの症状も発症率は極めて低く、0.01%未満または頻度不明とされています。重大な副作用が疑われる場合には、ただちにクラビットの服用を中止して医療機関に相談する必要があります。中でもクラビットの属するニューキノロン系抗生物質特有の副作用である「痙攣」と「アキレス腱障害」に注意が必要です。
痙攣(けいれん)とは、自分の意思とは関係なく、筋肉が収縮する状態を指します。全身が硬直するてんかん発作も痙攣に含まれます。一部の鎮痛剤との飲み合わせによって、痙攣が誘発されることもありますので要注意です。痙攣の初期症状としては、めまいや頭痛、震え、筋肉のピクつきなどが挙げられます。
アキレス腱障害では、アキレス腱の炎症もしくは腱断裂が生じます。原因はよく分かっていませんが、アキレス腱を構成するコラーゲン繊維にクラビットが良くない影響を及ぼしていると考えられています。初期症状としては、アキレス腱周辺の痛み、浮腫(むくみ)、発赤などが挙げられます。
その他、肝機能障害にも要注意です。肝臓の炎症で機能が完全に止まる劇症肝炎や肝機能の低下によって皮膚や目が黄色くなる黄疸(おうだん)の副作用も報告されています。初期症状としては、吐き気や嘔吐、、食欲不振、倦怠感、痒みなどが挙げられます。
動悸やカンジダなど稀におきる副作用
その他、ごく低い頻度で報告されている副作用として以下が挙げられます。
- <その他の副作用>
- 動悸、カンジダ、筋肉痛など
いずれも発症頻度は1%未満であり、クラビット特有といえるような副作用ではありません。低頻度ではありますが、重い副作用の初期症状に該当する症状もあるので要注意です。
動悸とは、心臓がバクバクするや脈拍が速くなる、などの症状を指します。動悸は重い副作用である不整脈や低血糖の初期症状として生じることもあります。
カンジダは、抗生物質の影響で常在菌のバランスが崩れることで生じることがあります。販売後に行われた使用成績調査では、口内でおきる口腔カンジダや、外陰部におきる膣カンジダが報告されています。
筋肉痛の発症頻度は不明とされています。重い副作用である横紋筋融解症の初期症状として生じることがあります。筋肉痛以外にも手足の痺れや脱力感を感じる場合には要注意です。