リレンザの効果「インフルエンザA型・B型の治療と予防」について
リレンザの効果と効能
- 効能・効果
- A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の治療と予防
リレンザの効果は、インフルエンザウイルス感染症の治療および予防です。人に感染するインフルエンザウイルスA型とB型に有効性が認められており、つらい症状を軽くして回復を早める効果があります。
インフルエンザを発症すると、A型・B型ともに発熱・頭痛・筋肉痛・咽頭痛・咳などといった症状が現れます。 リレンザに配合されている有効成分のザナミビルは、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する作用があります。ウイルスの増加を防ぐことができれば、症状の悪化を食い止めることが可能です。
症状の悪化を防いで回復を早める
体内に侵入したインフルエンザウイルスは24時間かけて増殖して、1〜3日ほどの潜伏期を経て発症します。特徴として、38℃以上の高熱や全身の倦怠感、頭痛などが突然現れます。
インフルエンザは、基本的には安静にしていれば治療を行わなくても1週間ほどで回復します。リレンザには、つらいインフルエンザの症状を軽度に抑えて回復を早める効果が期待できます。
リレンザを使用すると、有効成分のザナミビルの作用によってノイラミニダーゼという酵素の働きが阻害されます。ノイラミニダーゼが働かなくなるとインフルエンザウイルスは、感染した細胞に閉じ込められて増殖できないまま死滅していきます。
インフルエンザの症状が早く回復
南半球、欧州、北米で実施された臨床試験から、インフルエンザウイルスA型およびB型に対するリレンザの有効性が認められています。
インフルエンザ患者にリレンザ(有効成分ザナミビル20mg)または効果のないプラセボを摂取させて、インフルエンザの主症状(発熱、頭痛、筋肉痛、喉の痛み、咳)が回復するまでの日数を比較しました。結果として、リレンザ群はプラセボ群よりもA型インフルエンザでは1.5日、B型インフルエンザは2日早く症状が改善しました。
ウイルスの型 | ザナミビル群 (20mg/日) |
プラセボ群 | 日数の差 |
---|---|---|---|
A型 | 5日 | 6.5日 | 1.5日 |
B型 | 4.5日 | 6.5日 | 2日 |
発熱や咳の症状は1〜3日で軽減
リレンザの効果によって、発熱は最短で1日、咳は3日ほどで治すことが可能です。臨床試験が行われた全ての地域で、ザナミビル20mg群はプラセボ群よりも早く症状が軽減しています。咳の症状は最大で1.5日ほど回復が早まっており、解熱にかかる日数は0.5日短縮されています。
実施地域 | ザナミビル群 (20mg/日) |
プラセボ群 |
---|---|---|
南半球 | 3日 | 3.8日 |
欧州 | 3日 | 4日 |
北米 | 3日 | 4.5日 |
実施地域 | ザナミビル群 (20mg/日) |
プラセボ群 |
---|---|---|
南半球 | 1日 | 1.5日 |
欧州 | 1.5日 | 2日 |
北米 | 1.5日 | 1.5日 |
インフルエンザの発症を予防する効果
リレンザには、インフルエンザを治療するだけでなく予防する効果も期待できます。有効成分ザナミビルの作用によってウイルスの増殖を抑制することで、インフルエンザの発症を予防します。リレンザの予防効果は、インフルエンザ感染者と接触してから36時間以内に吸入を開始することが前提です。36時間後に使い始めた際の予防効果は保障されていません。
リレンザの予防投与による効果を示す臨床成績
家族内、大学内、介護施設内という異なる環境でインフルエンザ感染者が確認された際に、ザナミビル10mgを1日1回一定の期間吸入することで、感染および発症のリスクが低下することが分かっています。リレンザの吸入を行った期間は、家族内では10日間、大学内では28日間、介護施設内では14日間です。
臨床試験において、口腔体温 37.8℃以上または発熱感、咳、頭痛、喉の痛み、筋肉痛のうち 2 つ以上の症状が出ているか、インフルエンザウイルスの感染が確認された方の割合は下記の通りです。
調査環境の種類 | プラセボ群 | ザナミビル群 (10mg/日) |
---|---|---|
家族内 | 19% (32/168家族) |
4% (7/169家族) |
大学内 | 6.1% (34/554人) |
2.0% (11/553人) |
介護施設内 | 9% (23/249人) |
6% (15/240人) |
家族内、大学内、介護施設内のいずれの環境でも、ザナミビルを使用した群のインフルエンザ感染者はプラセボ群よりも少数でした。この臨床結果によって、リレンザにはインフルエンザ予防効果があることが実証されました。インフルエンザ感染者と接触後すぐにリレンザの吸引を始めることで、症状の発現を予防できる可能性が高くなります。
予防効果は吸引を続けている期間持続する
リレンザを吸引し続けている間は、インフルエンザを予防する効果が持続します。途中で吸引をやめてしまえば、その期間は予防効果が期待できなくなりますので注意が必要です。
リレンザは、予防効果を目的として使用する場合には、10日間吸入することと定められています。リレンザのインフルエンザ予防効果は、基本的に10日間まで持続すると考えてください。
インフルエンザは、感染者のくしゃみや咳に含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で目や鼻などを触ることで感染します。家族や身近な人が感染してしまった場合には、リレンザを毎日10mg吸入することで発症を予防できます。
リレンザが効かないことはあるのか
リレンザを使っても熱が下がらないなど体調が良くならない場合には、まだ効果が実感できるほど時間が経っていないか、そもそもインフルエンザによる症状ではない可能性が考えられます。インフルエンザは、薬が効かない耐性ウイルスが出現することがありますが、リレンザは耐性が付きづらいとされています。
効果がない耐性ウイルスが出現しづらい
インフルエンザウイルスは、薬に対する耐性を獲得して効き目が薄くなる、全く効かなくなることがあります。このような耐性ウイルスは、薬による治療を途中でやめてしまったりすると増殖して感染が拡大する原因となります。
リレンザは、耐性ウイルスが出現しづらいことが知られています。有効成分ザナミビルとタミフルの有効成分オセルタミビルの耐性ウイルスの出現頻度を比較したところ、ザナミビルは0%、オセルタミビルは8.6%であったという報告があります。
臨床において、リレンザの耐性ウイルスは1例のみ確認されています。A型およびB型のインフルエンザウイルスであれば、基本的にリレンザは十分に効果を発揮します。
風邪の症状には効果がない
風邪は、インフルエンザと似ている症状が多いですが、リレンザには風邪を治す効果はありません。リレンザの効果により改善するのは、インフルエンザウイルスが原因となる症状のみです。発熱や頭痛などの症状があっても、インフルエンザウイルスが原因でなければ改善効果は期待できません。