エムラクリームの副作用「軽度な副作用と重度な副作用」について
エムラクリームの主な副作用
エムラクリームは、注射時やレーザー照射などの皮膚小手術時の疼痛緩和などで用いられる外用局所麻酔剤です。高い麻酔効果を持ち、世界80ヶ国以上で承認されています。
エムラクリームの主な副作用は以下の通りです。
- <主な副作用>
- 紅斑、蒼白、潮紅、錯感覚、皮膚硬結、皮膚そう痒症、ALT増加、疼痛、浮腫、浮動性眩暈、感覚鈍麻
エムラクリームは、塗布部の疼痛を緩和する麻酔薬です。皮膚レーザー照射予定部位や注射予定部位に塗布し、60分密封して放置する事で、高い麻酔効果を得られます。
皮膚に直接塗布する薬なので、皮膚に関する副作用が多く発現します。
症状 | 発症頻度 |
---|---|
蒼白 | 37% |
紅斑 | 30% |
温度感覚の変化 | 7% |
浮腫 | 6% |
かゆみ | 2% |
発疹 | 1%未満 |
エムラクリームを用いると、使用直後に塗布した部位の皮膚に紅斑または浮腫が出現したり、しびれやじんじん・ピリピリなど皮膚に異常を感じたりすることがあります。また、塗布部位に紫斑または点状出血(毛細血管が破れて生じる微小出血)が生じることもあります。
特に紅斑は生じる可能性が高いとされています。紅斑とは毛細血管の拡張によって、皮膚の表面が発赤した状態です。
これらの軽度な副作用は、1時間から2時間で自然に治まるといわれています。
エムラクリームで色素が沈着する?
エムラクリームを使用した後に色素沈着があるとの報告があります。しかし、エムラクリームが原因なのか処置が原因なのか、その因果関係は明らかになっていません。
エムラクリームの重大な副作用
エムラクリームでは、重大な副作用が生じる危険性があります。
国内の臨床試験では重大な副作用の発現は認められておりません。ですが、海外において重篤な副作用の発現が報告されています。
使用中に次のような異常を感じた場合には、エムラクリームの使用を直ちに中止し、病院に行きましょう。
- <重大な副作用>
- ショック、アナフィラキシー症状、意識障害、振戦、痙攣、メトヘモグロビン血症
ショック・アナフィラキシー症状
国内での発症例はありませんが、海外ではエムラクリームの使用において、ショックやアナフィラキシー症状の発現例があります。
以下の症状が出た場合は、使用を中止し、病院に行きましょう。
- <ショック・アナフィラキシーの主な症状>
- 不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発 汗、全身潮紅、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、血圧低下、顔面蒼白、脈拍の異常、意識障害等
意識障害・振戦・痙攣
エムラクリームを使用した場合、意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状が現れることがあるので、症状が出た場合は使用を中止し、すぐに医師の診断を受けましょう。
意識障害や振戦、痙攣等の症状は、国内の臨床試験では出ていません。海外では、過剰投与した際に痙攣などの症状が発現しています。
決められた用法用量を守って使用しましょう。
メトヘモグロビン血症
メトヘモグロビン血症は、ヘモグロビンの機能不全により、全身に酸素不足が引き起こされる状態をいいます。
国内の臨床試験ではメトヘモグロビン血症が発症した事例はありません。しかし、市販直後調査において過量投与により、メトヘモグロビン血症を発現したとの報告があります。また、海外でも同じく大量投与によりメトヘモグロビン血症を発現した事例があります。以下の症状が出た場合は使用を中止し、病院で診断を受けましょう。
- <メトヘモグロビン血症の主な症状>
- めまい、悪心、頭痛、呼吸困難、錯乱、痙攣、昏睡
副作用を抑えるには用法用量をしっかりと守る
エムラクリームの副作用は、基本的に皮膚に関するものなど、軽度なものしか生じません。
これらの軽度な副作用は、薬を洗い流した後に1時間から2時間経過すれば、自然と治まります。重大な副作用は、いずれも過剰な使用が原因で生じています。そのため、使用方法と分量を守っていれば、重大な副作用の発生は防ぐことができます。
ただ、これらはあくまでも注射時やレーザー照射などの皮膚小手術時の疼痛緩和にエムラクリームを利用する場合に限ります。
早漏対策に使用する場合は注意
エムラクリームを早漏対策で性器に塗布する場合がありますが、副作用には十分に注意しましょう。
確かにエムラクリームは、その麻酔効果の高さから早漏への効果は得られます。しかし、そもそもエムラクリームは早漏治療を想定して製造されておらず、更に臨床試験も行われていません。そのため、安全性が確立されていません。
また、性器に塗布した場合は吸収率が高く、効果が早く出やすいという結果も出ています。吸収率が高い部位に、過剰に塗り過ぎた場合などは、重大な副作用を引き起こし兼ねません。
そのため、エムラクリームは「性器皮膚および粘膜に使用しないこと」と使用上の注意にも挙げられています。極力使わない方が良いでしょう。