プロペシアの副作用「初期脱毛と性欲や精液への影響」について
プロペシアの主な副作用
極少数ではありますが、プロペシアの主な副作用として以下の症状が報告されています。
- プロペシアの副作用
- <主な副作用>
性欲減退、勃起不全、射精障害、精液減少、肝機能障害など。
プロペシアの服用期間中に上記の症状が認められた場合は速やかに医師への相談を行いましょう。
性欲や精液、勃起など男性ホルモンに関する副作用について。
プロペシアの臨床試験では性欲減退や精液減少、勃起不全(ED)といった副作用が報告されています。これら男性機能の低下に関わる副作用が起きる詳しい原因はよく分かっていません。プロペシアの有効成分フィナステリドが男性ホルモンに何らかの影響を及ぼしていると考えられています。
副作用の症状 | 発現数 | 発現率 |
---|---|---|
性欲減退 | 3例 | 1.1% |
勃起不全 | 2例 | 0.7% |
精液量の減少 | 1例 | 0.4% |
射精障害 | 1例 | 0.4% |
下痢 | 1例 | 0.4% |
胃不快感 | 1例 | 0.4% |
総コレステロール増加 | 1例 | 0.4% |
フィナステリドには、男性ホルモンであるテストステロンが、その活性体であるジヒドテストステロン(DHT)に変化することを防ぐ働きがあります。毛髪の成長を止めてしまう男性ホルモンの活性を防ぐことにより、AGAの進行を食い止めます。
男性ホルモンは、薄毛・脱毛を早める一方で、性欲増進や精子の形成、勃起などの男性機能の維持に欠かせない働きをしています。フィナステリドの作用は、AGAに対しては良い影響を与えますが、男性機能に対しては悪影響を及ぼす可能性が否定できません。
下痢などの胃腸障害について。
プロペシアの服用によって胃腸に副作用の症状が出ることがあります。薬との関連性は不明ですが、プロペシアの成分が消化管に対して何らかの負担をかけて起こるものと考えらえます。プロペシアによる胃腸の副作用として、下痢、吐き気、便秘といった症状が起こる可能性があります。
ごく稀に起こるプロペシアの副作用
うつや肝障害、蕁麻疹などが報告されています。
前述の副作用以外にも、プロペシアの服用によって以下のような症状が報告されています。
- <まれに起こる副作用>
- 抑うつ症状、肝臓の障害、蕁麻疹、めまい、血管浮腫、睾丸痛など。
いずれの症状も日本での臨床試験においては報告されておらず、発症頻度は不明とされています。自発報告もしくは日本国外でのみ報告された副作用であり、発現率は非常に低いと思われます。
抑うつ症状
抑うつ症状は、気分が落ち込んだり、憂鬱な気持ちが強まったりする状態を指します。長期的に続く場合はうつ病と呼ばれます。詳しい原因は分かっていませんが、プロペシアの男性ホルモンに及ぼす影響が考えられます。症状が持続するようであれば休薬してください。休薬後も気分が軽快しない場合には、心療内科などの受診が必要となります。
肝臓の機能障害
プロペシアの服用によって、肝機能の数値が上昇するという副作用が報告されています。プロペシアは肝臓で代謝され、その過程で肝臓の細胞が破壊されます。するとAST(GOT)やALT(GPT)といった酵素が血液中に流れ出して検査数値が変化します。肝機能に異常に伴う自覚症状としては、以下が挙げられます。
- 倦怠感、だるさ
- 食欲不振
- 尿の色が濃くなる
- 黄疸(白目や肌の白い部分が黄色くなる状態)
- 腹部膨満感、体重の増加
蕁麻疹などアレルギー症状
プロペシアの主成分フィナステリドに対してアレルギーがあった場合、過敏症が起こる場合があります。症状として蕁麻疹(じんましん)や皮膚の痒み、発疹、血管浮腫などがあります。アレルギーがある方はプロペシアを使うことはできませんので、ただちに服薬を中止してください。
初期脱毛は副作用ではありません
治療開始の1〜2週間には脱毛が見られます。
プロペシアの服用を始めて1〜2週間ほどすると、AGAの影響により短命になった弱毛から健全な毛髪への生え替わりが起こります。これは初期脱毛と呼ばれる症状です。一時的に抜け毛が増えてしまうことや症状の名前から、プロペシアの副作用だと間違われやすい傾向があります。
初期脱毛は有害な副作用ではありません
初期脱毛はプロペシアの副作用ではなく、薬の効果が出始めた証拠です。初期脱毛が起こると、乱れたヘアサイクルがリセットされます。毛穴の中では、正常な働きを取り戻した毛母細胞による健全な毛髪の成長が始まっています。
初期脱毛の対象になるのは、毛髪の寿命とも言える脱毛期(休止期)の毛髪だけです。一方で成長期の毛髪は、プロペシアの服用によって寿命が延長されます。
初期脱毛は1〜3ヶ月程度で治まる
初期脱毛の症状は、早ければ1ヶ月以内、遅くとも3ヵ月程度で大半が治まります。初期脱毛の期間は、脱毛期の毛髪の割合やヘアサイクルによって個人差が出ます。プロペシアの影響下になくとも、脱毛期を迎えた毛髪は通常3ヵ月ほどで抜け落ちて次の発毛が始まります。
頭痛やむくみなど副作用と間違えやすい症状
ミノキシジル内服錠の副作用と誤解している可能性があります。
プロペシアの副作用として間違われやすい症状に、頭痛や低血圧、むくみ、動悸、体毛の増加が挙げられます。これらの症状は、発毛剤ミノキシジルの内服薬を服用した際に見られる副作用です。ミノキシジルを配合した内服薬は、血管拡張作用により頭皮をはじめ全身の血流を促進させて発毛を促します。そのため、体毛の増加や動悸といったような副作用が起こる可能性があります。
プロペシアは、酵素に働きかけてヘアサイクルを正常化する薬です。ミノキシジル内服薬のような、増毛や血流促進に伴う副作用は認められていません。どちらもAGA治療に用いられる内服薬ということで混同されがちですが、作用機序や副作用がまったく異なる別の薬です。