ヤーズの効果「避妊効果や月経困難症の改善」について
ヤーズの効果と効能
- 効能・効果
- 月経困難症
- (1) 生理痛など月経期間中に起こる病的な症状を軽減します。
(2) 妊娠のリスクを最小限にします。
(3) ニキビ、多毛症の改善にも有効です。
ヤーズは、第4世代の超低用量ピルです。ヤーズには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類が配合されており、排卵を抑え子宮内膜の肥大を防ぐことで、生理痛や頭痛、腰痛といった月経困難症の症状を和らげる効果があります。
ヤーズで月経困難症が改善される理由
月経困難症とは、月経が始まるとともに腹痛(生理痛)や頭痛、腰痛、悪心、嘔吐といった不快な症状が現れる疾患です。これらの症状は、月経が終わる頃に消失します。
月経困難症がもたらす痛みの症状は、プロスタグランジンという物質が原因で起こります。プロスタグランジンは、別名「痛み成分」とも呼ばれています。
プロスタグランジンは、子宮内膜から分泌されます。子宮内膜が厚ければ厚いほど、プロスタグランジンは多量に分泌され、そのぶん腹痛などの痛みも増します。
また、プロスタグランジンは月経中、剥がれ落ちた子宮内膜を経血として体外に排出するために、子宮を過度に収縮させる働きも持っています。生理による腹痛は、プロスタグランジンの生成と、子宮の過度な収縮が原因となって起こります。
ヤーズには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類が含まれています。このうち、黄体ホルモンには排卵を抑えて、子宮内膜が厚くなるのを防いだりする効果があります。
黄体ホルモンの働きによって子宮内膜が厚くならなければ、プロスタグランジンが過剰に分泌されることもありません。
痛み成分であるプロスタグランジンが分泌されなくなることで、腹痛や頭痛、腰痛といった月経の症状が改善するのです。
国内で行われたヤーズの臨床試験成績
臨床試験では、20歳から48歳(平均30.8歳)の月経困難症患者を2グループに分け、片方のグループ(61名)にはヤーズを、もう片方のグループ(58名)にはプラセボを最大4周期投与しました。
月経困難症の程度及び鎮痛薬の使用日数を指標とした月経困難症スコアは以下の通りです。
月経困難症の程度 | 内容 | スコア |
---|---|---|
なし | なし | 0 |
軽度 | 仕事(学業・家事)に若干の支障あり | 1 |
中等度 | 横になって休息したくなるほど仕事(学業・家事)への支障を来す | 2 |
重度 | 1日以上寝込み、仕事(学業・家事)ができない | 3 |
試験の結果、プラセボを投与されたグループは、変化量が-1.0±1.53だったのに対し、ヤーズを投与されたグループは変化量が-1.9±1.63になりました。このことから、ヤーズが月経困難症の改善に有用であることが分かりました。
また、20歳から44歳(平均29.3歳)の月経困難症患者を対象に、ヤーズの安全性を評価するための臨床試験も行われました。
ヤーズを52週間(13周期)投与した結果、月経困難症に対する有効性が投与中持続するとともに、長期投与における安全性も確認されました。
ヤーズは子宮内膜症の改善や予防にも効果あり
ヤーズは月経困難症だけでなく、子宮内膜症の改善や予防にも役立ちます。
子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側にだけできるはずの子宮内膜が、卵管や卵巣、ダグラス窩などといった子宮の内側以外の場所にもできてしまう病気です。
子宮の内側以外にできた内膜は、体外に排出することができないため、身体の中で炎症を起こし、重い生理痛を引き起こす原因にもなります。
また、子宮内膜症は、放置すると毎月卵巣から分泌される卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって、時間の経過とともに症状が進行してしまう可能性のある病気です。
ヤーズには、子宮内膜が厚くならないようにする作用があります。この作用により、子宮内膜から分泌される痛み成分であるプロスタグランジンの生成が抑えられ、重い生理痛を軽減することができます。
日頃からヤーズを服用することで、子宮内膜症の進行にブレーキをかけたり、進行スピードを遅らせることも可能です。
ヤーズはPMSを和らげる効果も
ヤーズは、月経前症候群、通称「PMS」を改善する効果もあります。
PMSとは、月経が始まる前に起こる、身体的・精神的な不快症状のことです。月経が始まる1週間から2週間前に、頭痛や腹痛、胸の張りやむくみといった身体的な症状や、精神の不安定やイライラ、うつや集中力の低下などの精神的な症状が現れます。
PMSの原因は、月経前によるホルモンバランスの乱れであると考えられています。月経前になると、女性の体内では精神を安定させるセロトニンの分泌が減り、黄体ホルモンが過剰に分泌されます。黄体ホルモンは、頭痛や腹痛、イライラなどの不快な症状を引き起こす成分です。月経前にPMSが起こるのは、黄体ホルモンが優位になることが原因とされています。
ヤーズを服用すると、ホルモンバランスが安定するようになります。これは、ヤーズに含まれている卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって、体内のホルモン量が調節されるようになるからです。
ヤーズを飲んでホルモンバランスを安定させれば、PMSの不快な症状を抑えることができます。
ヤーズを飲めば避妊できる?
ヤーズもトリキュラーやマーベロンといった他のピルと同じく、排卵を抑制する効果を持っています。このため、ヤーズを正しく服用していれば、避妊が可能です。
とはいえ、ヤーズはあくまで月経困難症の治療薬です。ヤーズは海外では避妊薬として承認されているものの、日本ではまだ未承認であるため、避妊を目的としてヤーズが処方されることはありません。
ヤーズは月経困難症や子宮内膜症、PMSの症状を改善するために服用しましょう。