【勃起力チェック】フル勃起時の角度や硬さ、持続時間からED診断
- 公開日
- 2022年06月17日
- 更新日

「最近、勃起が維持できなくなってきた」
「昔に比べて柔らかくなった気がする」
「ときどき最後まで出来ないことがある」
自身がED(勃起不全)であるのかどうか判然としないまま、勃起力に対する漠然とした不満を抱えている方は少なくありません。
特にEDは、性的活動を除いた日常生活に支障が出ることのない疾患です。多少の不満には目を瞑って放置している方も多いのではないでしょうか?
この記事では、勃起時の硬さを基準としてEDかどうかを簡単に診断する方法や、問診から加点方式で診断する方法を紹介しています。
また、勃起時の角度や挿入から射精までの勃起維持力からEDかどうかの判断をする方法、年齢別で勃起の衰えを感じている人の割合、EDの種類についても解説。
自身の勃起力に不満がある方、EDの発症を疑っている方は、ぜひご一読下さい。
「硬さ」のチェックに役立つ日本語版EHS

以前と比べて勃起が柔らかくなった気がする、硬さ不足を感じる、といった方には「日本語版EHS(Erection Hardness Score)」を使ったチェックがおすすめです。
EHSとは、2007年に米国で開発された評価スケールです。日本語版は2009年に永尾光一教授によって開発されました。勃起時の陰茎の硬さを0〜4の5つのグレードで判定します[1]。実際のED外来でも診断に使われており、自身の勃起力の自己評価に役立ちます。
グレード0 | 陰茎は大きくならない |
---|---|
グレード1 | 陰茎は大きくなるが、硬くはない |
グレード2 | 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない |
グレード3 | 陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない |
グレード4 | 陰茎は完全に硬く、硬直している |
またEHSによるグレードは、勃起の硬さをフルーツに例えた表現もされています。

グレード4のリンゴ状態であれば、高い勃起力を持っていると考えて良いでしょう。グレード3のグレープフルーツ以下の硬さであれば、EDの可能性があります。
EHSの結果はあくまでもEDを疑うための目安なので、不安であれば5つの設問から詳しくEDを診断できる国際勃起機能スコア(IIEF)でもセルフチェックしてみると良いでしょう。
EDの診断に使われるIIEF(国際勃起機能スコア)
ED外来における診断でよく使われているのは、IIEF(国際勃起機能スコア)です[1]。IIEFとは、EDの診断において、国際的な基準である問診票です。IIEFは、International Index of Erectile Function(国際勃起機能スコア)の略称で、EDを診断するときや回復の度合いを確認するときに用いられます。
IIEFをより簡便化した問診票として「IIEF-5」があります。IIEFが15項目の問診から構成されているのに対して、IIEF-5は5つの質問で簡単にEDを診断できます。
以下は、IIEF-5と同じ問診票です。問診票の合計点数から、EDの重症度が測れます。合計点が低ければ低いほど、重度のEDと診断されます。
1点 | 非常に低い |
---|---|
2点 | 低い |
3点 | 中くらい |
4点 | 高い |
5点 | 非常に高い |
0点 | 性的刺激はなかった |
---|---|
1点 | ほとんど、又は全くならなかった |
2点 | たまになった(半分よりかなり低い頻度) |
3点 | 時々なった(ほぼ半分の頻度) |
4点 | しばしばなった(半分よりかなり高い頻度) |
5点 | ほぼいつも、又はいつもなった |
0点 | 性交を試みなかった |
---|---|
1点 | ほとんど、又は全く維持できなかった |
2点 | たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度) |
3点 | 時々維持できた(ほぼ半分の頻度) |
4点 | しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度) |
5点 | ほぼいつも、又はいつも維持できた |
0点 | 性交を試みなかった |
---|---|
1点 | 極めて困難だった |
2点 | とても困難だった |
3点 | 困難だった |
4点 | やや困難だった |
5点 | 困難でなかった |
0点 | 性交を試みなかった |
---|---|
1点 | ほとんど、又は全く満足できなかった |
2点 | たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度) |
3点 | 時々満足できた(ほぼ半分の頻度) |
4点 | しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度) |
5点 | ほぼいつも、又はいつも満足できた |
上記の5つの質問の回答のポイントを足して、合計点数を出しましょう。合計点数から、以下の表で自身のED度が判定できます。合計点数による診断結果は以下の通りです。
点数 | 診断結果 |
---|---|
22~25点 | 正常 |
17~21点 | 軽症ED |
12~16点 | 軽症ED~中等症ED |
8~11点 | 中等症ED |
5~7点 | 重症ED |
合計点数が21点以下であれば、EDの可能性が高いです。もし21点以下であった場合は、受診の判断材料になります。もしセルフチェックでEDが疑われるようであれば、病院で診断を受けてみるか、ED治療薬の使用を検討してみてはいかがでしょうか。
「角度」の平均は74.3度

勃起力を測るうえで、陰茎の角度もひとつの目安になります。硬く勃起すればするほど、陰茎の角度は鋭角に上を向きます。
アメリカのキンゼイ研究所(Kinsey Institute)では、勃起した際の陰茎の角度のアンケート調査を行っています。対象となったのは、20〜69歳までの男性1,484名です[2]。
勃起時の角度 | 割合 |
---|---|
0~30度 | 5% |
30~60度 | 30% |
60~85度 | 31% |
85~95度 | 10% |
95~120度 | 20% |
120~180度 | 5% |
上記の角度は、直立した状態で測ったものです。陰茎が腹部に付くように真っすぐ上を向いた状態を0度、地面に対して水平を90度、足と同じ方向に向いた状態を180度としています。
調査の結果、もっとも多かったのが60〜85度の範囲であり、平均勃起角度は74.3度であることが示されました。勃起の角度は、だいたい水平よりも少し上を向いているくらいが一般的であることが分かります。
また半数以上の人が、水平よりも上向きの勃起角度を保っていることも見てとれます。
角度によってEDの基準があるわけではありませんが、水平よりも下向きであれば、勃起力が不足している可能性があります。
性交時には、陰茎の角度が水平より上向きになっていると挿入しやすいです。女性器の構造上、角度が鋭角な方が性感帯を刺激しやすく、女性側の満足度にも関わってきます。勃起の角度が低いと感じる場合には、EDを疑ってみるのが良いでしょう。
年齢ごとの勃起角度が手を広げた際の角度と同じという説もある
俗に、年齢ごとの勃起角度は、手をパーの形に広げた際の指の角度と連動しているという説があります。図のように、薬指の小指側の側面を地面と水平の向きにしながら、手の平をいっぱいに開いてみましょう。

薬指を基準に、親指の角度が20代、人差し指の角度が30代、中指の角度が40代といった具合に、年齢によって勃起の角度は下がっていくといわれています。
ただし、これはあくまで加齢に伴う精力の衰えを揶揄した俗説です。勃起と指の角度には、統計などに基づいた関連性が分かっているわけではありません。
また勃起の角度が低下する要因は、精力の衰えばかりではありません。勃起時に陰茎を引き上げているのは、陰茎と恥骨を繋ぐ位置にある靭帯(じんたい)です。陰茎が長かったり重かったりする場合や、この提靭帯が緩んでしまった場合に勃起の角度が緩くなることがあります。
靭帯は加齢と共に緩み易くなる傾向があるので、勃起の角度は年齢とともになだらかになりやすいのは事実です。
「持続時間」は平均10分程度だが状況に左右されやすい

健康に関する情報を扱っている米国のWEBメディア「HELTHLINE MEDIA」では、勃起の持続時間を検証する記事中において、泌尿器科医であるジェイ・シムハン博士の発言を紹介しています。
“Naturally, without being on any medications, the average erection for an average person would be roughly 10 minutes,”
“Of course, there are plenty of people that fall well above (or below) that average.”(薬を服用していなければ、平均的な勃起は約10分です。もちろん、その平均を遥かに上回る人、もしくは下回る人はたくさんいます。)[3]訳は引用者による
ジェイ・シムハン博士は、勃起の持続時間は平均で10分程度とする一方で、実際にはその人の置かれた状況によって大きく左右されるため、具体的な時間は出せないとしています。
例えば、身体的に健康であったとしても、十分な興奮が得られていなかったり、ストレスや不安、疲れを感じていたりする場合は十分に勃起を維持できないなどの例を挙げています。パートナーとの関係や自分の身体に違和感を覚えた場合や、その日は気持ちが入らないといった心理的コンディションによっても影響されるとしています。
以上のことから、具体的な持続時間からEDを診断するのは困難といえます。
そもそも「何分勃たせていられるのか?」といった具体的な数字は重要ではありません。大切なのは、性交時の最初から最後まで勃起を維持できるかどうかです。
挿入から射精までの時間は平均で5.4分

性交にかかる時間の平均に関しては、オランダ、英国、スペイン、トルコ、米国の5ヶ国を対象とした調査によって明らかになっています[4]。調査では、ストップウォッチを用いて膣内性交の時間(挿入から射精までの時間)が秒単位で計測されました。500組のカップルを対象とした検証が行われた結果、挿入から射精までの時間の中央値は5.4分だったのです。
この時間を長いとするか短いとするかの判断も難しいところです。というのも、性交に必要な時間は、本人またはパートナーの意思、あるいは性交の目的によっても異なります。
例えば、本人またはパートナーが挿入による性交を長く楽しみたいというならば5.4分では短いと言えるかもしれません。反対に妊娠のためだけの性交であれば、十分な長さであるとも言えます。
どの程度の勃起維持時間が必要なのかは、性交の目的次第で異なります。大切なのは、自身またはパートナーが満足できているか否かということです。中折れによって射精まで到達できないのであれば、大きな問題であるといえます。
51歳以上では性交にかける時間が2分ほど短い傾向
また上記した研究によると、51歳以上の男性とそれ未満の男性では、性交時間に2分ほど差があることが分かりました。
膣内性交の平均時間を年齢別にみると、18歳から30歳までのグループが6.5分であったのに対して、51歳以上のグループでは4.3分だったのです[4]。
5ヶ国全てで加齢によって勃起持続時間が短くなる特徴がみられたことで、年齢と勃起持続時間に関係性があるのは間違いないでしょう。
【年齢別】勃起の衰えを感じている人の割合

勃起の衰えを感じている人の割合は、加齢に伴って増えていきます。
日本老年医学会雑誌に掲載されているある調査では、加齢に伴い勃起硬度の減少が明確に示されています[5]。

20歳から80歳に渡って幅広い年代の男性に対して、勃起の硬度が調査された結果、若い世代になればなるほど高い頻度で硬い勃起をしており、年齢を重ねるにつれてその頻度が下がっていくことがわかりました。30歳未満の若い世代では「あまり硬くならない」「全く硬くならない」と回答した人はいません。
30代後半から「いつも硬くなる」の割合が減り、「時々硬くなる」の割合が増えて全体の3割近い数値となっています。40代以降は加齢に伴い、勃起の硬度が徐々に低下していっている傾向が見られます。
50代から「あまり硬くならない」「全く硬くならない」と回答した人が増加していく傾向にあり、その割合は加齢に伴い上昇していきます。50代前半では2.8%だったのに対して、70代前半では35%まで上昇しています。
70代後半になると「全く硬くならない」と回答した人の割合が増え、80代以降となると32%の人が重度のED状態となっています。軽度なものも含めると、80代以降はおよそ95%近くがED状態になっていると言えるでしょう。
40代以降では半数以上が勃起の硬さに「自信がない」
2009年にファイザー社が行った20歳以上の成人男性を対象に性生活や勃起機能に関するアンケート調査では、40歳から勃起の硬さに自信がなくなる人が増えていることが示されました[6]。

このアンケート調査からも、年代に比例して勃起時の硬さに自信がなくなる人が増加していることがわかります。
年代別で「自信がない」と回答した人の割合を見ていくと、20代が34.3%、30代が46.0%、40代が61.1%、50代が73.6%、60歳以上では83.3%、と40代を境に硬さに自信が持てない人が急増している傾向があるようです。
EDにはどんなタイプがあるのか?

EDは大きく二つに分けて分類されます。肉体的な問題が原因なら器質性ED、精神的な問題が原因なら心因性EDです。それぞれ見ていきましょう。
器質性のED(肉体的な衰え)
器質性EDとは、身体機能に問題があるために起こる勃起不全のことを言います。
陰茎につながる血管や神経、男性ホルモンの分泌、陰茎の形などに異常があることで、正常な勃起ができない状態です。
症状の重さには振れ幅があり、性交するまで十分な硬さにならない状態、勃起が維持できない状態、全く勃起ができない状態いずれも含みます。
勃起力が低下している原因が、加齢や糖尿病などの持病にある場合には器質性EDが疑われます。
心因性のED(精神的な問題)
心因性EDとは、身体機能に問題ない一方で、精神的な問題から起こるED(勃起不全)のことです。20~30代の若い男性のEDの原因として多くみられます。
心身がリラックスしていると勃起はしやすいです。しかし、精神的な負担があると、肉体的に問題なくても勃起ができないことがあります。
不安やストレス、性交や子作りに対するプレッシャー、性に関するトラウマやパートナーとの不和などが、心因性EDの原因です。
心因性EDの場合、上記を理由とする心理的な緊張状態から解放されると解消される傾向があります。
勃起力に自信が持てなくなったらED治療薬を服用しよう

EDかどうかを判断するうえで、もっとも分かりやすいのが、勃起時の「硬さ」です。
「Erection Hardness Score(EHS)」という評価スケールでは、5つのスコアから簡単にEDかどうかの自己診断ができます。自身のEDの度合いを詳しく知りたい場合はIIEFという国際勃起機能スコアでセルフチェックしてみるのが一番です。
また勃起時の角度を目安にEDを疑うこともできます。直立した際に、角度が水平を下回る場合は女性器の構造上も性交がしづらく、勃起力が衰えているサインでもあります。
性行為を楽しみたい場合は勃起の持続時間も大切です。早漏である場合は子作りには影響がありませんが、中折れして射精にまで辿り着けないのであれば、大きな問題が発生している状態であるといえます。
EDは加齢によって進行する傾向があり、40代から50代に掛けて、悪化していく傾向があります。30歳未満の人はおよそ40%が勃起硬度に満足をしているのに対して、50代前半になるとその数は1/2までに下がるといったデータもあります。
「若い頃に比べて、勃起力が低下してきた気がする」といった場合には、ED治療薬の使用を検討してみてはいかがでしょうか?バイアグラなどのED治療薬を用いることで、勃起時の血流がサポートされて、性交に十分な硬さを維持できます。ED治療薬は通販を利用すれば、病院の受診なしで購入できます。
- 参考文献・参考サイト
- [1]日本性機能学会/日本泌尿器科学会.「ED診療ガイドライン[第3版]」.2018-01-15発行
- [2]J Sparling, et al."Penile erections: shape, angle, and length"J Sex Marital Ther. Fall 1997;23(3):195-207.
- [3]healthline.「How Long Can the Average Penis Stay Erect?」.(参照:2022-06-17).
- [4]Marcel D Waldinger, et al."A multinational population survey of intravaginal ejaculation latency time"J Sex Med. 2005 Jul;2(4):492-7.
- [5]熊本悦明.「加齢による男子性機能低下」.日本老年医学会雑誌(1992)29巻5号.page350-360
- [6]Mpac.「バイアグラ(R)発売10周年記念調査」.(参照:2022-06-17).