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爪白癬(爪水虫)がよく分かる疾患ガイドページ

爪白癬は、爪を侵す真菌感染症の一種で、見た目の問題だけでなく、痛みや不快感を伴うこともあります。通常、足の爪に多く見られ、不適切な足のケアや公共の浴場などでの裸足の歩行が原因となることがあります。この感染症は、爪の変色、厚みの増加、爪の形状の変化など、様々な症状を引き起こすことが特徴です。治療には時間がかかることが多く、予防が最も効果的な対策と言えます。

このガイドでは、爪白癬の原因、認識すべき症状、治療オプション、そして感染を避けるための予防策について詳しく説明し、健康な足のケアに役立つ情報を提供します。

爪白癬(つめはくせん/爪水虫)とは?

爪白癬は、爪を侵す真菌感染症の一種です。一般に「爪の水虫」とも呼ばれ、主に足の爪に発生することが多いですが、手の爪を侵すこともあります。この症状が起こる主な原因は、環境が湿っている場所で裸足になることなど、真菌が繁殖しやすい条件にさらされることです。

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドラインによると、現在、日本では人口の10%が爪白癬にかかっているとされています。その総数は1,200万人を超え、非常に多くの方が悩まされています。

爪白癬の典型的な症状には、爪の色が白っぽく変わる、黄色く濁る、爪が厚くなる、爪の形が不均一になる、時には爪が割れたり欠けたりすることがあります。感染が進行すると、爪が周囲の皮膚から離れたり、痛みを伴うこともあります。

治療には、抗真菌薬を用いた塗り薬や内服薬が一般的です。しかし、爪は成長が遅いため、治療には時間がかかり、完治までに数ヶ月から1年以上を要することも珍しくありません。また、再発を防ぐためには、足を清潔に保ち、乾燥させることが大切です。公共の浴場やプールを利用する際は、サンダルを着用するなどして、直接床に触れることを避けることが推奨されます。

爪白癬は見た目の問題だけでなく、歩行時の痛みなど、日常生活に支障をきたすことがあるため、症状を自覚したら早めに医師の診察を受けることが大切です。

主な症状は爪が変色する・崩れる・分厚くなる

爪白癬の主な症状は、爪の強度の低下や変色・肥大です。爪白癬を発症するとまず、爪が濁った白色や黄色に変色します。爪先から色が変わり始め、徐々に爪全体へと広がります。変色した爪はとても脆くなります。そのため、ボロボロと崩れ落ちたり剥がれたりと、爪が欠損するようになります。また異常に増殖するようになるため、脆い爪が分厚く成長するようになります。

爪白癬の初期段階では、足白癬にあるようなかゆみや痛みなどの症状はありません。爪には神経がないため、不快に感じるような症状は起こりません。症状が進行すると分厚く膨れた爪が靴に擦れたり、爪が欠損したりします。これらが起こる際に、痛みも感じるようになります。さらに進行すると赤黒く変色し、痛みがひどくなって歩行に支障が出ます。

爪白癬と同様に、爪が変形する疾患は複数あります。それぞれの疾患ごとに原因や対策、治療法は異なってきます。まずは現在の症状が爪白癬であると確定させることが必要です。検査では患部の一部を採取し、真菌の有無を確認します。

爪の表面または根本の部分が白く濁るタイプもある

爪の表面のみが、チョークで塗ったように白く濁るタイプの爪白癬を「表在性白色爪真菌症」といいます。白濁は点状もしくはまだら状で、病変部は徐々に拡大します。表在性白色爪真菌症は、爪白癬全体の5〜10%にみられる病型です。表面にある病変部を削り、外用薬を塗るだけで治療できます。

爪の根本から白く濁っていくタイプの爪白癬を「近位爪甲下爪真菌症」といいます。白濁するのは爪甲の下であり、表面は比較的健常です。爪の付け根から先端に向かい、早いスピードで白濁が進行していきます。免疫不全の患者に多くみられる病型であり、一般的には極めてまれです。

末期になると爪が薄く小さくなる

治療を行わずに爪白癬を放置すると、病変部が爪全体に進行して「全異栄養性爪真菌症」と呼ばれる状態になります。全異栄養性爪真菌症では、爪全体が破壊されて崩れ落ちていきます。最終的には、爪が薄く小さくなります。この状態では、歩くたびに痛みを感じることもあります。

全異栄養性爪真菌症は、爪白癬の中で最も重症です。感染した指から他の指にも病変が広がるため、治療にとても時間がかかります。

白癬菌が足白癬の患部から爪へと感染する

爪白癬の主な原因は足白癬(水虫)です。足白癬は真菌(カビ)の一種である白癬菌が感染し、増殖すると発症します。爪白癬は、足白癬の感染が進行し、足から爪へと白癬菌が移動することで発症します。そのため、爪白癬の原因を取り除くには、足白癬を治療する必要があります。

白癬菌は、皮膚に付着した状態を放置すると内部に感染します。付着した白癬菌は、24時間ほど経過すると肌の角質層に侵入します。その後、角質を構成するケラチンを栄養源として増えていき、水虫の症状を引き起こします。白癬菌は皮膚や爪、髪などケラチンがある場所ならどこでも感染します。

白癬菌は高温多湿な環境で感染力が高まる

白癬菌は高温多湿な環境で活発化し、感染力を高める真菌です。湿度70%以上、温度15℃以上という条件を満たすと真菌が活発に増殖します。湿気を好み、湿度が100%の状況だと、半日程度で角質層に侵入します。そのため、湿度が高まりやすい梅雨の時期に患者が増加します。

高温多湿な環境として最も身近な場所は、靴や靴下の中です。白癬菌は、主に水虫患者から剥がれた角質が足に付着して感染します。感染経路は不特定多数が使うバスマットやスリッパ、畳などです。これらの経路から白癬菌が付着し、靴や靴下で増殖を始めます。感染経路や発症部位に触った手で他の部位に触ると、白癬菌が拡散する可能性もあります。

爪白癬は主に内服できる抗真菌薬を使って治療する

爪白癬(爪水虫)の治療に有効な抗真菌薬
テルビナフィン
真菌による細胞膜の合成を妨げて抗真菌作用を発揮します。真菌の増殖を抑えて真菌感染症を改善します。外用薬と内服薬どちらにも使われている成分です。
イトラコナゾール
真菌の生命活動に必要なエルゴステロールの生成を阻害します。高濃度の摂取を一定期間続けると優れた持続力を発揮する成分です。
テルビナフィンが配合されている商品
ラミシール錠
爪白癬(爪水虫)に効く抗真菌薬です。内服薬ですので白癬菌が原因の症状すべてに効果があります。同成分を配合した外用薬との併用療法もできます。
セビフィン
ラミシール錠と同じ有効成分を配合したジェネリック医薬品です。先発薬と同等の効き目が期待できる優れた抗真菌薬です。
イトラコナゾールが配合されている商品
スポラノックス
爪白癬(爪水虫)に効果的な抗真菌薬です。効果の持続性がとても高く、治療期間を短縮するパルス療法を行えます。日本ではイトリゾールという名前で販売されています。
イトロタブ
スポラノックス錠と同じ有効成分を配合したジェネリック医薬品です。先発薬と同等の効き目が期待できる優れた抗真菌薬です。

爪白癬の主な治療は、内服薬タイプの抗真菌薬を服用します。爪白癬の患部はとても硬く、外用薬を表面から塗布しても浸透しません。このため、塗り薬では十分な効果を期待できません。爪白癬は、白癬菌を完全に除去できなければ完治しない疾患です。爪白癬の治療では、身体の内側から患部全体に作用する内服薬が使われます。

爪白癬の治療には、同時に発症している足白癬の治療も必須です。白癬菌はすべての感染部位から除去しなければ意味がありません。足白癬も同時に治療しなければ、爪白癬を改善してもすぐに再発します。内服薬の抗真菌薬は、爪だけでなく足の皮膚にも効果を発揮するため、効率よく白癬菌を除去できます。

抗真菌薬には、白癬菌を除去する働きしかありません。かゆみや痛みなどの不快な症状をすぐには改善できません。不快な症状は、白癬菌が除去されたのち、徐々に解消されていきます。耐え難いほどの強いかゆみや痛みがある場合には、外用タイプのかゆみ止めや痛み止めを併用しましょう。

治療は爪が完全に生え替わるまで継続する

爪白癬の治療は、爪が完全に生え替わるまで継続する必要があります。足の爪が1日に伸びる長さは0.05〜0.08mm程度です。患部が生え替わるまでには半年から1年ほどかかります。爪白癬によって変色、変形した爪は、白癬菌を除去しても元に戻りません。爪がすべて生え替わった段階で、初めて爪白癬は完治したといえます。

感染が深部まで及んでいる場合、完全に除去するのに期間を要します。患部の角質層がすべて入れ替わらないと、白癬菌が角質層に残る場合があります。これらは抗真菌薬の効き目が切れた途端に活動を再開し、爪白癬を再発させるおそれがあります。水虫の症状が治まっても、治療期間が終わるまでは抗真菌薬を使い続けましょう。

症状が軽度なら外用薬による治療も可能

爪白癬は、初期段階の軽度な症状であれば外用薬による治療が可能です。爪白癬には、専用の外用抗真菌薬も用意されています。内服薬を使用できない方でも治療が行えるよう、浸透力が高くなっています。全身に効果が及ばないため、内服薬のような副作用を心配することなく使用できます。軽度な爪白癬なら十分な効果が得られます。

爪白癬を外用薬で治療するには、何らかの方法で爪の表面を除去する必要があります。足白癬の治療用に別の抗真菌薬を併用するなど、内服薬による治療よりも負担が増えます。外用薬での治療を希望される場合は、一度医師に相談してから検討しましょう。

足白癬の治療と予防が重要

爪白癬の最も重要な予防法は、足白癬を早期に治療することです。白癬菌は、爪の下の足白癬に感染した皮膚から爪全体へと広がります。そのため、白癬菌の感染が爪付近の皮膚まで及ばないように対策することが、爪白癬の予防法として重要です。足白癬を早期に治療する、または発症そのものを予防することで、爪白癬も同時に予防することができます。

足白癬の予防には清潔感を保つことが重要

足白癬の最も重要な予防法は、清潔感を保つことです。白癬菌は肌から剥がれた皮膚にも潜んでいます。そこから他の肌に付着することで感染します。付着してから感染するまでに8〜24時間ほどかかります。この時間内に洗い流してしまえば、簡単に感染を防げます。

他にもこまめに靴下を替えれば、足の清潔感を維持できます。白癬菌に触れる機会を減らし、高温多湿な環境を防ぐことで足白癬を予防できます。足の清潔感を重視した生活は、足白癬の予防に効果的です。

足白癬の患者が利用する備品を共有しない

白癬菌は、バスマットやスリッパ、絨毯、畳などの共有物からも高い確率で感染します。感染の予防には、これらの備品を可能な限り共有しないことが重要です。特にバスマットは不特定多数の人が触れて高温多湿となります。バスマットやスリッパなどの備品は、個別に用意して共有は避けましょう。

また、外出先などでやむを得ず備品を共有した場合は、帰宅後すぐに足を洗いましょう。その後、水気をよく拭き取って乾燥させてください。

足白癬の家族に治療を勧める

白癬菌の感染予防には、家族の協力が不可欠です。もし家族に水虫の患者がいる場合は、必ず一緒に治療しましょう。自分の治療が終わっても、家族に水虫患者がいた場合は油断できません。感染者が身近にいると思わぬ所から再感染する恐れがあります。再感染を防ぐためにも、家族みんなで治療に取り組むことが大切です。

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