バルトレックスの効果「効果時間と効き目の強さ」について
バルトレックスの効果・効能
- 効能・効果
- 単純疱疹・造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペスの再発抑制
ヘルペスウイルスを原因とする疾患に効果を発揮します。
バルトレックスが治癒効果を発揮する適応症は、ヘルペスウイルスの感染が原因となり発症する以下の疾患です。
- 性器ヘルペス
- 口唇ヘルペス
- 帯状疱疹
- 水ぼうそう
効き目の強さと利便性のよさから、上記のいずれの疾患に対しても第一選択薬として頻繁に用いられています。有効成分バラシクロビルの働きにより、ヘルペスウイルスの増殖を抑制することで治療効果を発揮します。
性器ヘルペスの治療には有効ですが、カンジダやコンジローマなど病原体の異なる他の性病には効果がありませんので注意してください。
耐性ウイルスが出現しにくい
バラシクロビルはウイルスのDNA複製を阻害することで、増殖を抑制して症状の悪化を防ぎます。作用機序とウイルスの増殖機構の構造上、耐性化しにくいことがわかっています。耐性がつきにくいため、使いすぎることでバラシクロビルが効かなくなる心配はありません。耐性ウイルスが出現したとしても、耐性を得る過程で自身の増殖能力を犠牲にする必要があるため、病原性の低い無害なウイルスになります。
性器・口唇ヘルペスに対する効果
ヘルペスを早く治す効果があります。
バルトレックスは、早期に服用することでヘルペスによる皮膚症状を最小限に抑える効果があります。
再発を繰り返している方は、皮疹が出現する前に「ムズムズとした違和感」や「チクチクとしたかゆみ」といった前兆を患部に感じることがあります。このような再発の兆しを感じたタイミングですぐに治療を始めることによって、皮疹の発症を未然に防ぐことができます。
ウイルスに初感染した際に起こる急性型ヘルペスにおいて、無治療では治癒に3週間ほどかかりますが、バルトレックスを使った場合には1〜2週間で治癒します。
急性型ヘルペスは、高熱などの激しい全身症状を伴う上、長期化するとヘルペス脳炎などの後遺症のリスクを高めます。バルトレックスを使って治療にかかる日数を短縮することで、患者にかかる負担が大幅に軽減されます。
効果が出るまでの時間は?
飲んでから約1.5時間で血中濃度がピークに達して作用しますが、目に見えて分かる効果がすぐに現れるわけではありません。バルトレックスの作用は、あくまでウイルスの増殖抑制です。体表に出てきている皮疹を直接的に治癒する効果があるわけではありません。
即効性は実感しづらいかもしれませんが、水面下でバルトレックスが働くことにより、治癒までの期間短縮や発症を未然に防ぐ効果が得られます。

ヘルペスが発症しているときは、身体の抵抗力が落ちています。早く治すためにも、無理をせず安静にしていることが大切です。栄養のある食事を摂ったり、生活リズムを整えたりすることは、早期回復のみならず、再発抑制にも繋がります。
臨床試験では95.9%の有効率が確認されています。
バルトレックスの有効成分バラシクロビルを用いた臨床試験では、単純ヘルペス(性器ヘルペスや口唇ヘルペスなど)に対する有効率は95.9%(141/147例)という結果になりました。耐性ウイルスはほとんど存在しないからこそ、バルトレックスはヘルペスに対して非常に高い有効性を発揮するのだと考えられます。

市販の塗り薬よりも高い効き目が期待できます。
内服薬であるバルトレックスは、薬の効果を全身に対して作用させることができます。それに対して、市販されているような塗り薬の効果が及ぶのは皮膚表面の病変部のみです。つまり、塗り薬では皮下の神経で活性化しているウイルスを抑制することができません。
塗り薬に期待できる効果は、ヘルペスが発症した際にウイルスが近くの細胞に広がるのを防ぐための局所保護程度です。ヘルペスの発症を未然に防いだり、病期を短縮させたりする効果が期待できるのは、バルトレックスのような内服薬だけです。
効かないこともあるの?
バルトレックスを服用するタイミングが遅かった場合、有意な効果を得られないことがあります。バルトレックスは、ウイルスの増殖を最小限に抑えることで効果を発揮する薬です。ウイルスが増殖している発症の初期段階のうちに服用を始めないと、本来の効果を示しません。
特に増殖期が短い再発性のヘルペスでは、発症から6時間以内に飲まないと効果が半減するとされています。
毎日飲み続ける再発予防治療の効果
再発予防治療では60〜70%の患者の再発を抑制できます。
バルトレックスを1日1回服用することによって、ヘルペスの再発を予防する効果が得られます。このバルトレックスによる再発予防は、1年に6回以上の再発を繰り返す性器ヘルペス患者に対しては、保険適用で医療機関でも行われている治療法です。
バルトレックスは、再発予防治療による処方が認められています。

この治療によって、60〜70%の方は再発予防効果が得られるとされています。
1年に10回以上の再発を繰り返している患者では、再発を抑制しきれないこともありますが、仮に再発しても軽度な症状に留まります。
再発予防治療を一定期間行うことで、その後の再発頻度を減らすことができます。バルトレックスによって抑制され続けたウイルスは、新たな神経細胞に潜り込む機会を奪われます。神経細胞の寿命が尽きるとその細胞に感染したウイルスも死滅するため、徐々にウイルスが減少していくのです。
ヘルペスの再発頻度は、神経細胞に潜んでいるウイルス量に比例します。神経細胞に潜んでいるウイルスの数が減少することで、ヘルペスの再発頻度が低下します。
性交によるウイルスの感染率を低下させます。
ヘルペスウイルスは主に性的行為を介して感染します。たとえ、症状が出ていない状態でもウイルスが排泄されている場合があり(無症候性排泄といいます)、パートナーに感染させてしまう可能性があります。バルトレックスによる再発予防は無症候性排泄による感染を防ぐ効果も期待できます。
臨床試験における感染率は1/4に低下
ヘルペス感染者と非感染者からなるカップルを対象にした臨床試験では、8ヶ月間の観察が行われました。その結果、カップル間での感染が起きたのはわずか0.5%(4/743例)と、プラセボを投与されたグループの感染率2.2%(16/741例)と比較して1/4の感染率が確認されています。
薬品 | 対象例数 | 感染率 | 実際数 |
---|---|---|---|
バルトレックス | 743例 | 0.5% | 4/743例 |
プラセボ(偽薬) | 741例 | 2.2% | 16/741例 |
帯状疱疹と水ぼうそうに対する効果
水痘・帯状疱疹ウイルスを抑制して症状を和らげます。
帯状疱疹および水ぼうそうは同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる疾患です。水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種なので、バルトレックスの効果で早く治すことが可能です。
皮膚表面や神経で活性化しているウイルスの増殖を抑制することで、治癒を早めたり、痛みを緩和したりなどの効果が得られます。
帯状疱疹の改善率
バルトレックスによる帯状疱疹の改善率は97.75%です。この改善率は販売後の使用成績調査により、対象となった2,891例の患者のうち2,826例に症状の改善が見られたことで実証されています。
水ぼうそうの改善率
帯状疱疹と同様に、水ぼうそうに対する有効率も使用成績調査によってわかっています。349例中347例の水ぼうそうが改善したことにより99.4%の改善率を有していることが認められています。
疾患名 | 対象例数 | 改善率 | 実際数 |
---|---|---|---|
帯状疱疹 | 2,891例 | 97.75% | 2,826/2,891例 |
水ぼうそう | 349例 | 99.40% | 347/349例 |
帯状疱疹による疼痛が残るのを防ぎます。
帯状疱疹患者が最も苦しめられるのが疼痛の症状です。ズキズキやピリピリとした痛みが表面の皮疹が治まった後も長期間続きます。
バルトレックスは表面の炎症を抑えることで、疼痛の症状が消えるまでの期間を早める効果があります。
従来薬よりも疼痛消失までの期間を有意に短縮
臨床試験において、帯状疱疹患者に対する疼痛を早く治す効き目が確認され、疼痛が消えるまでの日数の中央値は35日でした。
従来のヘルペス治療薬アシクロビルとの比較では、疼痛の消失に10日以上の差があり、バルトレックスはアシクロビルよりも有意に早く疼痛を鎮めることが確認されています。
帯状疱疹後神経痛への移行率
バルトレックスには、帯状疱疹後神経痛を予防する効果もあります。
帯状疱疹後神経痛とは、ウイルスが神経を傷付けることで起こり、3ヵ月以上痛みが続きます。高齢者に多く見られる特徴があります。バルトレックスによる治療を行った場合の帯状疱疹後神経痛への移行率は24.7%(皮疹出現から90日後)と報告されています。