アンピシリンが配合されている通販商品
アンピシリンの禁忌事項
下記に該当する方はアンピシリンを使用しないでください。
- アンピシリンに対してショックをおこしたことがある
- アンピシリンまたはペニシリン系抗生物質に対して過敏症をおこしたことがある
- 伝染性単核症がある
以前にアンピシリンを服用してショックを起こした事がある方は使用できません。ショックは激しいアレルギー症状で、多くの場合アンピシリンの投与後数分以内に起こります。呼吸困難や皮膚蒼白、意識喪失などの重大な症状が見られます。
アンピシリンを服用した際に過敏症が出た経験のある方では、原則禁忌とされています。アンピシリンの過敏症では、発疹や蕁麻疹などの皮膚症状が見られます。治療上どうしても必要となる場合に限り、医師の判断によってアンピシリンの使用が許可されます。アンピシリンが分類されるペニシリン系抗生物質の他の薬剤で、過敏症が出た経験のある方も同様です。
伝染性単核は、全身のリンパ節の腫れを伴う伝染病です。患者の免疫系統に異常を来すことから、アンピシリンを投与した際にアレルギー反応が生じるリスクが高くなります。伝染性単核患者にアンピシリンを投与した場合、特に皮膚の発疹が起こりやすくなるとの報告があります。
アンピシリンの働きと効果
- 効能・効果
- 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、梅毒、腹膜炎、肝膿瘍、感染性腸炎、子宮内感染、眼瞼膿瘍、麦粒腫、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、抜歯創・口腔手術創の二次感染、猩紅熱、炭疽、放線菌症
- <適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、放線菌、大腸菌、赤痢菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌、梅毒トレポネーマ
一般名:アンピシリン水和物
梅毒の治療に使われる抗生物質(細菌感染症治療剤)です。
梅毒トレポネーマをはじめとした病原細菌に対して、強力な殺菌効果を発揮します。用途に応じて注射薬と内服薬が用いられています。アンピシリンの内服薬は梅毒に対する優れた臨床成績があることから、日本では梅毒治療の第一選択薬としても処方されることがあります。
アンピシリンは、ペニシリン系を代表する薬です。ペニシリン系は、βラクタム系に分類される抗生物質です。アンピシリンは、抗菌スペクトラムの拡大に成功した世界初の広域ペニシリンです。抗菌スペクトラムは、抗菌効果を発揮する菌の種類の幅広さを指します。従来のペニシリンが効きづらかったグラム陰性菌に対しても、抗菌活性を示すようになりました。
広域ペニシリンであるアンピシリンは、細胞壁を有する細菌に対して幅広く殺菌効果を発揮します。アンピシリンの適応菌種には、大腸菌やインフルエンザ菌などのグラム陰性菌、グラム陽性菌、レンサ球菌属、淋菌、梅毒トレポネーマなどがあります。これらの細菌が感染して起こる様々な領域の疾患に有効です。適応疾患は表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、胆道感染症、尿路感染症などです。
アンピシリンが細胞壁の構成成分の合成を阻害します。
アンピシリンは、病原細菌の細胞壁を構成しているペプチドグリカンの合成を阻害します。ペプチドグリカンは、細胞質膜に含まれるペニシリン結合タンパク質(PBP)という酵素の働きによって合成されます。
アンピシリンは細菌の細胞内でPBPと結合します。アンピシリンと結合したPBPは活性を失い、ペプチドグリカンの合成が妨げられます。ペプチドグリカンの欠乏によって細胞壁が作れなくった細菌は、浸透圧に耐えられずに破裂して死滅します。
ヒトの細胞には細胞壁が存在しないため、アンピシリンの作用が及ぶことはありません。ヒトの細胞には害を与えず細菌に対してのみ毒性を発揮します。
臨床成績で梅毒に対する100%の有効率が実証されています。
梅毒に対するアンピシリンの効果は、投与用量別に有効率が検証された臨床試験*によって実証されています。
試験では梅毒患者59例に対し、アンピシリンが毎日1回1.0~2.0g投与されました。その結果、全症例の86.4%にあたる51例に有効性を示す治療効果が得られました。中でもアンピシリン2.0gが投与されていた患者17例では100%(17/17例)の有効率が確認されました。
臨床試験では、梅毒による各種疾患別にみたアンピシリンの有効性も検証されています。投与した患者に「やや有効」~「著効」と診断された割合がそれぞれ測定されました。梅毒に感染してから1年以内におきる早期潜伏梅毒では94.1%でした。母子感染によっておこる先天性梅毒では80.0%でした。ゴム腫や神経症状などの重篤な状態に発展した晩期梅毒では57.1%でした。
梅毒以外の細菌感染症に対するアンピシリンの効果は、1,272例の患者を対象とした臨床試験で実証されています。臨床試験では全体の73.0%に有効な治療効果が確認できました。特に症例数の多かった疾患は以下のとおりです。
疾患名 | 有効率 | 症例数 |
---|---|---|
膀胱炎 | 80.9% | 260/321 |
細菌性赤痢 | 79.2% | 134/169 |
尿路感染症 | 78.6% | 59/75 |
腎盂腎炎 | 74.6% | 53/71 |
猩紅熱 | 98.4% | 64/65 |
心内膜炎 | 80.4% | 37/46 |
中耳炎 | 69.2% | 27/39 |
※出典:リンク先、販売名:ビクシリンカプセル250mgのインタビューフォームを参照
アンピシリンは、ビクシリンを先発薬とした梅毒の治療薬の有効成分として配合されています。
- アンピシリンが配合されている梅毒の治療薬
- 先発薬:ビクシリン(Meiji Seikaファルマ)
- 後発薬:ジャーシリン(ジャーマンレメディーズ)
アンピシリンの副作用
副作用
過敏症(発熱、発疹、じんま疹)、下痢、吐き気、食欲不振などが生じることがあります。
重大な副作用
偽膜性大腸炎、急性腎不全、血小板減少症、出血性大腸炎、ショック、中毒性表皮壊死症、スティーブンス・ジョンソン症候群、無顆粒球症、溶血性貧血。
以下はビクシリンカプセルのインタビューフォーム*に記載されていた副作用の発現率です。
副作用の症状 | 発現数 | 発現率 |
---|---|---|
発疹 | 79例 | 1.50% |
吐き気・悪心 | 11例 | 0.21% |
肝機能異常 | 11例 | 0.21% |
AST(GOT)、ALT(GPT)上昇 | 9例 | 0.17% |
下痢 | 8例 | 0.15% |
発熱 | 7例 | 0.13% |
注射部位疼痛 | 7例 | 0.13% |
発疹・?痒感 | 6例 | 0.11% |
アンピシリンの臨床試験で示された副作用の発現率は4.5%です。全症例1,287例中、78例に副作用の発現が報告されました。
アンピシリンで最も多く報告されている副作用は皮膚にできる発疹です。発疹や発熱、じん麻疹などの過敏症症状が見られる場合には、アンピシリンが身体に適していません。ただちに使用を中断して医師に相談してください。
下痢や吐き気などの消化器系の症状もアンピシリンの副作用として比較的多く見られます。一般的にアンピシリンや他の抗生物質は、腸内で消化・吸収を助ける善玉の常在細菌も殺菌してしまいます。アンピシリンの殺菌作用によって腸内細菌のバランスが崩れてしまうことで、下痢や軟便などの症状がおこります。
アンピシリンでは、ごく稀な頻度で重大な副作用が報告されています。初期症状に注意を払う必要があります。中でも重大な副作用として、ショック・アナフィラキシーが挙げられます。初期症状として、口内異常感、めまい、便意、耳鳴りなどがあります。
他にも重大な副作用として中毒性表皮壊死融解症や無顆粒球症、溶血性貧血、偽膜性大腸炎などが報告されています。
中毒性表皮壊死融解症の初期症状には、38度以上の高熱、目の充血、唇のただれ、皮膚が赤くなるなどがあります。
無顆粒球症になると、感染症を起こしやすくなってのどの痛みや高熱などの初期症状が出ます。
溶血性貧血の症状には、貧血症状や黄疸などがあります。
偽膜性大腸炎は高齢の患者に出やすい副作用です。症状として、アンピシリンを服用して数日~2週間後に下痢や発熱などが生じます。
- 使用に注意が必要な人
- <セフェム系抗生物質に対して過敏症をおこしたことがある>
セフェム系抗生物質は、アンピシリンと同じβ-ラクタム系抗生物質に分類されます。化学構造も似ているので、セフェム系を使用した際に過敏症が出たことのある方は、アンピシリンでも起こる可能性が高くなります。 - <本人または家族が気管支喘息・発疹・蕁麻疹などをおこしやすいアレルギー体質>
本人または家族がアレルギー体質である場合、β-ラクタム系抗生物質でもアレルギーの発症リスクが高くなります。家族が薬剤投与後に気管支喘息や発疹などのアレルギー症状を起こしたことがある場合も要注意です。疑わしい場合はアンピシリンを使用する前に医師に相談してください。 - <高度の腎障害がある>
腎機能障害がある方では、障害の程度に応じてアンピシリンの血中からの消失が遅れます。通常よりも血中濃度が長く持続するおそれがあります。このため医師の観察のもと投与間隔を調整する必要があります。 - <経口摂取が不良または非経口栄養、全身状態が悪い>
ビタミンKの経口摂取が困難な患者では、出血傾向(血が止まりにくくなる)が生じるおそれがあります。ビタミンKは腸内細菌によって合成されます。アンピシリンに限らず、腸内細菌のバランスに影響を及ぼす抗生物質を摂取することでビタミンKの合成が阻害されます。ビタミンKが欠乏すると、血が固まりにくくなって出血傾向が生じます。 - <高齢者>
高齢者では、薬を代謝・排泄する機能が低下する傾向にあります。アンピシリンの血中濃度が通常よりも高くなり、副作用が発現しやすくなります。ビタミンKの欠乏による出血傾向(血が止まりにくくなる)に注意が必要です。
- 併用注意薬
- <経口避妊薬>
避妊効果を減弱させるおそれがあります。経口避妊薬は腸から吸収されます。アンピシリンの殺菌作用が腸内細菌のバランスに影響を与えることで、黄体ホルモンの吸収率が低下する可能性があります。
- アンピシリンと関連する成分
- アモキシシリン
風邪、膀胱炎の治療に効果的な成分です。病原細菌の細胞を囲っている細胞壁を壊します。ペニシリン系の代表的な抗生物質で、梅毒の治療に第一選択されます。