老人性色素斑がよくわかる疾患ガイドページ
老人性色素斑(老人斑)は、肌の老化現象によるシミの一つです。主に日光に長年さらされた肌に現れるこの変化は、多くの中高年の方々に共通の悩みとなっています。紫外線の影響により、肌が生成するメラニン色素が増加し、その結果として顔や手、腕などの日光にさらされやすい部位に斑点が現れます。
このガイドでは、老人性色素斑の原因、予防策、そして有効な治療法について詳しく解説し、美しく健康な肌を保つための知識を提供します。
老人性色素斑(ろうじんせいしきそはん)とは?

老人性色素斑、または老人斑(れいじんはん)は、主に高齢者の肌に現れる平坦な茶色または黒色の斑点です。これらの斑点は、紫外線への長期間の露出が原因で、特に顔、手の甲、腕、肩など日光に晒される部分によく見られます。老人性色素斑は通常、皮膚がんへと進行することはありませんが、見た目のコンプレックスと感じる人もいます。
老人性色素斑の治療には、レーザー治療、液体窒素による凍結療法、ケミカルピーリング、および美白剤の使用が含まれます。これらの治療法は、色素斑を薄くするか、完全に取り除くことができますが、斑点の数や大きさによって治療の効果には個人差があります。
近年、老人性色素斑の治療法としてレーザー技術が進化し、治療がより安全で効果的になり、回復時間も短縮されています。さらに、予防として高SPF値の日焼け止めの使用が一般的に奨励されるようになりました。これにより、老人性色素斑の発生を遅らせるか、あるいは軽減することが可能です。
老人性色素斑は自然な老化過程の一部として捉えられることが多く、必ずしも治療が必要なわけではありませんが、見た目を改善したい場合や、斑点の急激な変化に気づいた場合は専門の皮膚科医に相談することをおすすめします。
シミ・肝斑を消す薬で老人性色素斑の症状は改善されます。
くっきりとした円形で褐色のシミが老人性色素斑の症状

老人性色素斑の特徴として、最初は薄茶色でボンヤリとしたシミができます。次第に色が濃くなり、褐色で輪郭もくっきりとした円形状のシミになります。頬やこめかみなど顔の中でも紫外線が当たりやすい場所や、手、腕、背中などにできやすくなります。30代を過ぎた頃から気になり始め、40代で老人性色素斑を発症するケースが多くみられます。特に日焼け止めの塗り忘れが多いこめかみには老人性色素斑ができやすいとされています。
50代の女性の約80%が老人性色素斑を気にしているというデータもあり、年代が上がるほどに増える傾向にあります。一方で早い人では20代のうちから老人性色素斑の症状が出始めることもあります。
老人性色素斑はそのまま対策をせずに放っておくと、加齢とともにシミが大きくなり色も濃くなっていきます。まれに老人性色素斑から落屑(皮剥け)が生じることもあります。
老人性色素斑は大きさなどの症状も発症する時期も人によってさまざまです。
紫外線を浴びても、すぐに老人性色素斑を発症するわけではありません。肌に蓄積された紫外線のダメージが徐々に症状として現れます。老人性色素斑で発症するシミの大きさや数には個人差があります。点々とした細かなものもあれば、数センチほどの大きいものまでさまざまです。
老人性色素斑は、紫外線を多く浴びれば浴びるほどできやすくなります。スポーツやレジャーなど戸外での活動が多いと、それだけ早くシミもでき始めます。年齢を重ねるほどに悩みも深刻になっていきます。
蓄積された紫外線ダメージが老人性色素斑の原因
老人性色素斑は、年を取ってからできるものと思われがちな疾患です。しかしその原因は年齢というよりも、肌の奥に蓄積された紫外線ダメージです。老人性色素斑が日光性黒子とも呼ばれているのはそのためです。
紫外線を浴びると、肌はメラノサイトという細胞を活性化させます。このメラノサイトが黒色メラニンを生成します。黒色メラニンは、通常であれば肌のターンオーバーとともに体の外に排出され、シミの元となることはありません。
強烈な日差しのもとに長時間いたりすると、一度に大量の紫外線を浴びることになります。どんどん黒色メラニンが作られるため、ターンオーバーの働きだけでは排出しきれなくなります。排出されなかった黒色メラニンは表皮に留まり、シミを作っていきます。
加齢による肌代謝の衰えも老人性色素斑を濃くしてしまいます。
肌は加齢によってターンオーバーが乱れてしまいます。新陳代謝が低下し、若い頃のようにスムーズに再生ができなくなります。肌に沈着したメラニン色素が増えていくため、肌の老化が進むとさらにシミの排出が難しくなります。これにより、老人性色素斑の症状が加速してしまいます。
長い年月をかけてできてしまうシミですので、若いころからの紫外線ケアが重要です。
肌再生と漂白作用があるクリーム剤で老人性色素斑を治療

- 老人性色素斑の治療に有効な成分
- トレチノイン
古い角質を剥がれやすくするピーリング効果と、皮脂の分泌を抑える効果があります。シミ・肝斑の改善、アンチエイジングに役立ちます。 - ハイドロキノン
医薬品や美白クリームや美容液などのスキンケア化粧品に使われる成分です。メラニン色素の生成を抑えて、シミを改善します。
- トレチノインとハイドロキノンが配合されている商品
- ユークロマプラスクリーム
トレチノインとハイドロキノンの合剤で最安値の美白剤です。炎症を抑えるフランカルボン酸モメタゾンも配合されており、肌への負担も少なく、シミ・肝斑の治療に効果的です。 - コスメライトクリーム
ハイドロキノンとトレチノインが低用量に調整されており、低刺激で肌に優しいシミ治療薬です。さまざまな肌トラブルにもお使いになれます。
老人性色素斑のシミを消すには、有効成分にトレチノインとハイドロキノンを配合しているクリーム剤が効果的です。
2つの有効成分を同時配合しているクリーム剤では、ユークロマプラスクリームが最適です。
肌への負担が気になる場合は、より低刺激なクリーム剤としてコスメライトクリームがあります。頬やこめかみといった比較的薄い顔の皮膚にも有用です。
トレチノインはビタミンA誘導体で、肌のターンオーバーを促進する働きがあります。ターンオーバーによって、表皮の奥深くにあるメラニン色素を肌の表面へと押し上げます。このピーリング作用で、古い角質とともにシミを剥がすように消してくれます。
トレチノインの働きによってターンオーバーのサイクルが短縮しますので、新陳代謝もスムーズになり、肌を若返らせる効果があります。
ハイドロキノンは強力な肌の漂白剤です。メラノサイトとメラニンを合成する酵素であるチロシナーゼの働きを抑制し、メラニンが生成されるのを防ぎます。
アルブチンやコウジ酸のおよそ100倍もの美白効果があるとされ、シミを薄くする効果が期待できます。
治療期間中はしっかりと紫外線対策をしましょう。
トレチノインには、肌を再生させるとともに古い皮膚を剥がす作用があります。再生されたばかりの肌はとても弱いので、トレチノインを使用している間はいつも以上にしっかり保湿を行いましょう。肌が刺激を受けやすくなっているため、紫外線対策も万全に行うよう心がけてください。