雀卵斑(そばかす)がよくわかる疾患ガイドページ
雀卵斑(そばかす)は、メラニン色素の不均一な蓄積により肌に小さな茶色い斑点が現れることを特徴とします。遺伝的要因が大きく、特に日光に晒されやすい部位に多く見られます。そばかすは一般的に害はありませんが、美容的な理由で治療を求める人もいます。予防としては、日焼けによる影響を最小限に抑えるため、日焼け止めの使用や帽子をかぶるなどの日光対策が有効です。
このガイドでは、雀卵斑の原因となる要因、特徴的な症状、利用可能な治療法、そして発生を防ぐための予防策について詳しく説明し、患者がこの状態をより良く理解し、適切に対処するための情報を提供します。
雀卵斑(じゃくらんはん)とは?

雀卵斑(そばかす)は、主に顔に現れる小さく薄茶色の斑点で、紫外線による影響や遺伝的要因が大きく関係しています。特に、肌が紫外線に晒されることが多い春から夏にかけて、目立つようになることがあります。そばかすは皮膚のメラニン色素が集まってできるもので、特に色白の人や日焼けをしやすい人に多く見られます。
そばかす自体は健康に害を及ぼすものではありませんが、見た目のコンプレックスと感じる人もいます。そのため、美容目的でレーザー治療や美白化粧品を用いたケアを行う人もいます。
雀卵斑の治療方法は、外用薬と内服薬の併用が第一選択とされています。近年の変化や傾向として、美容技術の進歩により、治療方法も多様化しています。レーザー治療や光治療など、より効果的で痛みの少ない方法も開発されており、治療を受ける人が増えているという報告もあります。また、日常的なスキンケアや日焼け対策の意識が高まっており、そばかすを予防するための情報も豊富になっています。
それでも、そばかすの有無は個人の特性や遺伝的要素が強く影響するため、完全に予防することは難しい場合もあります。肌を健康に保つためにも、紫外線対策と適切なスキンケアが重要です。
シミ・肝斑を消す薬で雀卵斑の症状は改善されます。
鼻や頬に小さな斑点ができる雀卵斑の症状

発症が多い部位 | 鼻の周辺 頬 肩や腕 |
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自覚症状 | 1~4mm程度の薄茶色の斑点が顔にたくさんできる。紫外線を多く浴びることにより、色が濃くなる。 |
発症の条件 | 以下の要素に当てはまる時期に発症しやすい。 ・遺伝が原因ならば3歳頃から症状がみられる ・紫外線 |
間違えやすい疾患 | 【肝斑】 発症が多い部位が似ている 【老人性色素斑】 細かい色素斑が多発することがある |
雀卵斑の主な症状は、鼻を中心として目元や頬に散らばる1~4mm程度の小さな薄茶色の斑点です。顔の他にも肩や腕、背中などにそばかすができることもあります。そばかすの斑点の濃さは、紫外線を浴びる量によって影響を受ける傾向があり、春から夏にかけては色が濃くなり、秋から冬になると薄くなります。
色白の人はそばかすができやすいフェオメラニンというメラニン色素を多く有しています。そのため、そばかすは色白の方、特に色白の子供に多く見られます。
雀卵斑を発症する原因に、遺伝が大きく関係しています。子どもの頃にできるそばかすの原因は、そのほとんどが親からの遺伝だといわれ、3歳頃から症状がみられます。成長するにしたがって斑点の色が濃くなって量もふえていき、思春期に症状のピークを迎えます。思春期を超えると、人によっては斑点が薄くなっていきます。
雀卵斑とシミ(肝斑、老人性色素斑)の違い
そばかすとシミは異なるものであり、原因や症状にも違いがあります。シミはいくつかの種類がありますが、多くみられる代表的なシミは肝斑と老人性色素斑の2つです。
肝斑は、30〜40歳代の女性が発症することが多く、女性ホルモンの乱れが原因とされる疾患です。肝斑のシミの特徴は、顔に左右対称にできて、輪郭がはっきりしていないことです。そばかすは腕や背中などにもできますが、肝斑は顔にのみできるシミの一種です。
肝斑は発症の多い部位が雀卵斑と似ているため、見分ける際に注意が必要です。色素斑の形状は、肝斑と雀卵斑を見分ける基準の1つです。肝斑は、はっきりしない輪郭のシミで、雀卵斑は斑点です。さらに、症状の現れた時期が、ホルモンバランスの乱れやすいタイミングだったかどうかも目安になります。妊娠、避妊薬の服用時などは女性ホルモンのバランスが乱れやすいため、肝斑の発症率が上がるとされています。
老人性色素斑は、紫外線や外的刺激によるメラニンの過剰分泌と老化などにより肌の代謝が落ちることを原因として起こる疾患です。老人性色素斑を発症するのは、30代後半をすぎてからが多いといわれています。シミのできる場所や形は不規則で、色合いは濃く輪郭がはっきりとしています。
通常の老人性色素斑と雀卵斑は顔や腕などさまざまな部位に発症する点で同じですが、見た目の特徴が異なるので見間違えることはほとんどありません。しかし、小型の老人性色素斑が鼻の周辺や頬に多発してしまうと、雀卵斑と見分けるのが難しくなります。その場合、雀卵斑かどうかの判断は、季節によって斑点の色素の濃さに変化はあるか、幼少期から斑点はあったか、などを基準にすると良いでしょう。
雀卵斑は遺伝による先天的要因と紫外線が原因
- 遺伝による影響
- 紫外線
雀卵斑の原因には、遺伝によりそばかすができる先天的な原因と、大人になってからそばかすが出現する後天的な原因があります。
遺伝により生まれつきそばかすが発現しやすい体質になることがあります。そばかすの先天的な原因となるのは、メラニンの生成に関係するメラノコルチン1受容体(MC1R)という器官の量です。MCR1の量は遺伝子のタイプによって決まり、MC1Rが多い体質の人は先天的にそばかすを発症しやすくなります。
先天的な原因によるそばかすは幼少時に発症し、大人になる頃には斑点が消える、もしくは薄くなるケースが多いためそれほど心配する必要はありません。
雀卵斑を発症する後天的な原因は、紫外線による肌へのダメージや皮膚への外的な刺激が主な要素です。そばかすは紫外線に当たりすぎてしまったり、洗顔の際に顔を強くこすりすぎて肌に強い刺激を与えている場合に濃くなることがあります。肌ダメージによってメラニン色素が濃くなってしまい、雀卵斑が目立つようになるためです。
それに加えて、生活習慣の乱れも雀卵斑を発症する後天的な原因です。生活習慣の乱れは肌の代謝を悪くしメラニンの排出を遅らせるため、そばかすができやすくなります。皮膚内のメラニンの蓄積が、雀卵斑に影響を及ぼします。
まれに、子どもの頃にできた雀卵斑が大人になっても消えずに、または薄くならずにそのまま残ってしまうケースがあります。その場合は後天的な原因が関係し、雀卵斑が悪化して残り続けていると考えられます。
雀卵斑が大人になってできた場合は、放っておいても自然に消えることはほとんどないため対策が必要です。
疾患の発症や悪化に関わる要因
ビタミン不足になると雀卵斑ができやすくなります。喫煙やストレス、睡眠不足などは、ビタミンCを損なう原因です。ビタミンCはメラニンの生成や酸化を抑え、シミを防ぐ役割があります。ビタミンCを失うことでメラニンが増えてそばかすの発現や悪化につながります。
雀卵斑はハイドロキノン・トレチノインによる治療が有効

- 雀卵斑の治療に有効な成分
- トレチノイン
古い角質を剥がれやすくするピーリング効果と皮脂の分泌を抑える効果があり、そばかす・シミ・肝斑の改善、アンチエイジングに役立ちます。 - ハイドロキノン
医薬品や美白クリームや美容液などのスキンケア化粧品に使われる成分です。メラニン色素の生成を抑える効果から、シミやそばかすを改善します。
- トレチノインとハイドロキノンが配合されている商品
- ユークロマプラスクリーム
トレチノインとハイドロキノンの合剤で最安値の美白剤です。炎症を抑える効果を持つフランカルボン酸モメタゾンも配合されており、肌への負担も少なく、シミ・肝斑・そばかすの治療に効果的です。 - コスメライトクリーム
メラケアクリームのジェネリックです。ハイドロキノンとトレチノインが低用量に調整されており、低刺激でそばかすの治療などのさまざまな肌トラブルにもお使いになれます。
治療法の内容 | 漂白作用と肌の再生効果がある外用薬と、そばかすの原因となるメラニンの生成を抑える働きを持つ内服薬の併用。 |
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診察が行える診療科 | 皮膚科 美容系クリニック |
施術に使用する薬または器具 | ハイドロキノン、トレチノインを含む外用薬 ビタミンC、ビタミンEを含む内服薬 |
治療期間 | 2ヶ月 |
雀卵斑を治すには、外用の治療薬として処方されているハイドロキノンとトレチノインの2剤を使って、肌から雀卵斑の元であるメラニンを減少させる方法が効果的です。外用薬による治療はそばかすを消す方法として広く用いられています。
ハイドロキノンは、メラニンの生成を抑制するとともに酸化して黒ずんだメラニンを還元(色を薄くする作用)し、そばかすを目立たなくする効果があります。一方トレチノインは、肌の新陳代謝を促して角質(古くなった皮膚細胞)を剥がすピーリング作用があります。2剤を併せて使うと、メラニンの量を減らしながら角質とともに排出できるため、効果的にそばかすを消すことが可能です。
ハイドロキノンとトレチノインを配合した外用薬に関して
そばかすの治療には、ハイドロキノンとトレチノインがあらかじめ一緒に配合されている合剤を用いると、使い方が簡単で慣れていない方にも安心です。ハイドロキノンとトレチノインが配合されている外用薬の使い方として一般的なのは、患部への塗布を2ヶ月程続け、肌からメラニンの排出を促すことでそばかすを消す方法です。トレチノインの2ヶ月以上の使用は耐性がついてしまうため、効果的ではありません。続けて外用薬の使用をお考えの場合でも、本来の薬の効果を発揮させるため、1〜2ヶ月の期間を空けてから再度ご使用いただくことを推奨します。
扱いやすい外用薬に、トレチノインと炎症を抑えるフランカルボン酸モメタゾンも配合されているユークロマプラスクリームや成分量が控えめで肌にやさしいコスメライトクリームなどがあります。
外用薬との併用が有効なビタミン剤に関して
そばかすを消す目的で外用薬を使用する際は、併せてビタミン剤を飲むことがあります。ハイドロキノンとトレチノインに加えて、ビタミンCやビタミンEを含んだ内服薬を併用すると、より効果的にそばかすを治療できます。ビタミンCはメラニンの生成を遅延させる作用や抗酸化作用によってハイドロキノンの効果を高め、ビタミンEは肌の新陳代謝のリズムを整えてトレチノインの効果を高めます。
雀卵斑に外用薬と内服薬を併用する治療法は、自宅で行える点とかかる費用の少なさから、最も手軽な方法だといえます。
その他、検討される治療方法について
- レーザー治療
- 光(IPL)治療
雀卵斑の治療には、レーザーを用いた施術も効果があるとされています。雀卵斑の斑点一つひとつにレーザーを照射し、メラニン細胞を破壊することでそばかすを消す治療法です。破壊されたメラニン細胞は、皮膚の中で薄いかさぶたのような状態になります。レーザー照射後は、雀卵斑の症状が悪化したように見えますが、かさぶたがターンオーバーで自然にはがれ落ちた際にそばかすが消えてきれいな肌となります。このかさぶたが、自然にはがれ落ちるまでに必要な期間は1〜2週間程度です。この期間は特にダウンタイムと呼ばれます。ダウンタイム中は、肌が刺激に敏感になっているので、紫外線対策を行うなど肌へのダメージを極力減らしながら生活を送ります。
レーザー治療は1回の施術でも成果が出やすく、その即効性が特徴です。
雀卵斑には、光(IPL)治療も選択されることがあります。レーザーよりも少ない力で広範囲に光を照射するため、レーザーでは困難な皮膚の表層にできた浅い斑点に効果を発揮します。しかし、深い場所にできた色素斑には特性上、効果が期待できません。
光(IPL)治療によるそばかすの改善は、レーザーよりも力が少ないため複数回の施術を必要とします。しかし、ダウンタイムが現れることはほとんどなく、痛みも少なくて済むのが特徴です。また、雀卵斑の治療の効果を高めるため、外用薬と内服薬の併用を行いながら、レーザーや光(IPL)を用いた施術を行うといったケースもあります。
雀卵斑の予防には紫外線ケアと生活習慣の改善
- 紫外線ケア
- 生活習慣の改善
雀卵斑の予防、または悪化を防ぐために最も重要なのは紫外線ケアです。雀卵斑を発症した原因が先天的・後天的のどちらの要素でも、紫外線がそばかすを悪化させますので日傘や日焼け止めクリームなどのケアが大切です。
雀卵斑の予防または悪化を防ぐために、生活習慣の改善も効果的です。そばかすには、ストレスを溜め込まない生活を心がけ、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。食事だけでは摂取の難しい栄養素は、サプリメントで補給すると良いとされています。肌の健康を守るために有用なビタミンC・ビタミンEを筆頭に、バランス良く摂取することでそばかすの出現を抑えましょう。